エピソード2 元勇者編

第4話 王道!? 異世界転生勇者現る!

 前回の女神ちゃん! 二度目の転生で詩織さんは無事、武闘派な保育士として異世界に定住することなったのだが。はてさて……。

 ——でもなんとなくだけど、また近い内に戻ってくるんじゃないの? って思ってしまうのよね。心配だわ。


   ◯ 転生ガイドルーム


 さて、冴えない社畜サラリーマンだった生前の私。魂自体はそんなに変化したとはあまり感じないのだけれど……転生予定者を何人も異世界に送り届ける、この仕事を続けていくうちに、いつのまにか思考も女神のそれになってきた気がするわ ← !?

 ここでの、この女神の身体、さらさらの腰までの長い金髪(いい匂い)、青い瞳、大きな胸(!)細くて白いきれいな手と、つるつるの脚。大きなケツ、くびれた腰。生前にはまったく縁のなかったこの様なカラダ。

 肉体としての存在感はあるのだけれど、果たしてこれは物理的な実態としての身体として存在しているのだろうか? 実感があまりない。転生システムも、魂についても、未だあまりわかっていないのよね。神様があんな調子だし、何も説明してくれないの。


   ◯ 転生予定者


 次の転生予定者が来たようね。んっ、コホン!

「ようこそ、異世界転生の待合室へ。ここは迷える魂をあるべき世界へ導く為の——」

「おい、クソ女神! また魔王にやられちまったぞ。今度こそは勝てるギフトをくれよな、ってお前誰だ?」

「は? またやられた?」

 いきなりなんなの、この無礼者? もうやだ……。

「三つ編み眼鏡のチビ女神はどこだ!?」

「えっ、女神は私ですが?」

「いや、お前しらん! ったくあいつが付与したギフト、まったく使い物にならねえ」

「あのポンコツ女神めェェェェ」

 どうやらこの転生予定者、もとから異世界の勇者で魔王討伐で敗れ、ここにきたようだ。ん? 現世日本からじゃないの? そもそも三つ編み眼鏡ってなんだ?? 他にも女神がいるの? ちょっと神様ぁ。


【1】パーティ仲間の女の子に手を出したら昇天させられた件


 故郷の村から出発し冒険者を始める。最終的に魔王戦に挑み、——失敗、戦死。この時はじめて、転生ガイドルームの存在を知り、女神にスキルをギフトされた。また同じ異世界に転生する(一回目)。強力なギフト「チャーム」を得て、魔王討伐に出発するも、チャームのスキルが妙なところで発動し、難儀な性格も加わり、パーティのエロカワ・アークウィザードの女の子に手を出す。仲間の回復役の僧侶(女)にブチ切れられて、昇天させられる。

 「はぁ……」私はあまりの下らなさにため息吐息。


【2】能力過信系かんちがい勇者の暴走


 そしてまた転生ガイドルームに行き、同じ三つ編み眼鏡ポンコツ女神がギフトをあたえて同じ異世界に転生(二回目)、冒険者としてやり直し。

 その時のギフトの能力は凄まじく、一撃必殺即死チートだった。ザコモンスターに連発しまくってたのはよかったが、相手の攻撃を反射してダメージを攻撃者に返す、暗黒魔道士との戦闘で、即死チートを発動した際に、攻撃を反射される。自分の放った即死魔法で、あっさり転生ガイドルームに逆戻り。

 「あほかぁぁぁぁぁぁぁぁ」


【3】ようこそ! 私が女神よ?


 で、三度目の正直、私の前に現れたって訳。で? 今度は、どんなギフトが欲しいの? うちはランダムガチャだから必ずしも希望の能力がもらえる訳じゃないのよ?


   ◯ いま万感の思いを込めて、ガチャ!


「わかりました。私たちの力が及ばず大変な思いをさせてしまったようですね。今度は適切な能力が与えられる事でしょう」

 ぐるぐるぐるぐる、ガチャン!


 ファァァァァァァァ……。さて、どんな能力?


   〈遺跡ダンジョンでドロップした超古代文明製・重金属粒子ビームガン「艦対戦レベル・左腕に装着」〉


 さすがの私もこれには困惑を隠せない。ビームはないわ。せめて魔道具にしとけ。

「補足説明が不穏すぎて……色々とイケナイモノが混ざってんじゃないの!」

「背中にまといつく陰りは……いや、だめでしょこれ」

 ボソッと呟いた小声を元勇者に聞かれて……。

「は? おい、なんだそりゃ、そんなんで魔王討伐やれってのか?」


「このクソ女神がァァァァァ」


 有無を言わざす異世界へ転生させられる元勇者。

「もう慣れたわ」と、苦笑しつつも、やはりこの転生システム、バグあるんじゃね? と思った。

 艦対戦レベルの重金属粒子ビームとか嫌な予感しかしないわね。また戻ってくるんじゃないの。いやだなあ航宙戦艦とか出てくるんじゃないでしょうね。


「ほっほっほ。輪廻転生は終わらないんぢゃよ」

「はぁ……何言ってんのこの神様……」


 ——神様への不信感が増す、転生ガイド女神であった。


          —— つづく ——

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