「…のど、おちゃ、」

「…目が覚めましたか?」


…誰!?


「あ、すみません驚かせてしまって…初めまして、私田所と言います」

 喉が乾いて起きた。目を開けたら、真っ白な部屋で寝てた。布団の下の方で若い男の人が声を掛けて来た。…私、ベランダにいたと思ったんだけど…

「田所…さん、」

「はい。よろしければこちら、飲んでください」

「ありがとうございます…」

 田所さんて人が渡してくれたのは、お茶。喉乾いているの、知っていたのかな…?とっても冷たくて、美味しい。冷たいお茶、久しぶり。美味しい、美味しい…

「…お疲れ様でしたね、こちらもどうぞ」

 次に渡されたのはタオル。乾いたタオルと湯気が出ているタオル…なんで…

「涙を拭いたら、それで顔を温めてみてください。ほっとしますよ」

 知らない間に涙が出てた。泣くのなんて、いつからしてなかったんだろう。涙が出ると鼻の奥が痛いんだった…顔に湯気の出たタオルをあてると、鼻からあったかくていいにおいが入ってくる。なんか、安心する…

「あったかい…っふっ…ぅっ…はぁ…。ありがとうございます」

「落ち着くの早いですね…」

「…涙を引っ込ませるの、得意です」

「凄い女優さんですね…。ここは狭いですし、部屋を移りましょうか」

「あのっ…ここどこですか?私、お家にいたんですけど…」

「そうでした、何もご説明してませんでしたね。そちらも含めて、お話ししますね」

 田所さんは、凄く優しい。知らない人だけど、今まであった大人の人の中で、一番優しい話し方。怒ったりしない。話、ちゃんと聞いてくれる…



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る