アノの帰り
@GalqinAliya
第1話
アノが目覚めると、水の底に寝ていた。彼女が慌ててもがきながら出ようとしたが、そこは果てしなかった。彼女は反射的に上へ泳いだ。両足を力強く蹴って浮いたところ、何かに引っ張られて、また水の底に沈んだ。驚いて見下ろすと、なぜか彼女の高価で買った服とアクセサリーが足にぶら下がっていた。それが石のように重い。いつこうしたか思い出せない。だが、今のところは、ここから出るのが一番だ。彼女は足につないでいた縄を切った。すると、体が軽くなり、上に浮いた。
次の瞬間、アノは異変に気付いた。息が苦しいが、水に溺れない。彼女は、水の底に横たわる衣服やアクセサリーを一目見て、上へ泳いだ。今度は手が何かに引っ張られて、思いのままに動かない。よく見ると、手首に糸が付いていた。
「まだ何?」アノは慌てて、それを解こうとした。だが、鉄で作れたように丈夫で、手で引いても、歯で噛んでも切れなかった。仕方なく、それに沿って進んだ。
「ここから脱出するには、糸を切らないと。そのために、その先まで行くしかない」彼女は自分に言い聞かせて、糸の先へ泳いだ。
しばらく進むと、水の中で何かがおぼろげに見えてきた。アノは何度か目を瞬き、それをはっきりと見ようとした。なんだか家屋のようだった。
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