ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話 第3部

橋元 宏平

第374話 旅の仲間探し

 春が来た。


 あちこちで花が咲き始めると、心がウキウキするよね。


 この世界でも、桜が咲くんだよ。


 といっても、染井吉野ソメイヨシノではないけどね。


 イチモツの森に生えている桜は、山桜ヤマザクラという野生の桜。


 ソメイヨシノは、お父さんの大島桜オオシマザクラとお母さんの江戸彼岸桜エドヒガンから産まれた観賞用の桜。


 世界中で生えているソメイヨシノは、全部cloneクローン(同じ遺伝情報いでんしじょうほうを持つコピー)。


 などをして、人間の手で増やしたものなんだって。


 人工授粉じんこうじゅふんたねを作ることも出来るけど、そのたねから産まれた桜はソメイヨシノとは別の品種ひんしゅになっちゃうらしい。


 ちなみに桜の花弁はなびらは、ネコも食べられる。


 だけど、葉っぱや実にはamygdalinアミグダリンという毒が含まれるから、ネコは絶対に食べちゃダメ。


 食べると青酸中毒せいさんちゅうどくになって、呼吸困難こきゅうこんなん嘔吐おうと痙攣けいれんなどの症状が出るそうだ。


 ネコちゃん用シャンプーには、桜エキスが入っているものもあるけどね。


 人間には薬になるけどネコには毒になる植物って、結構たくさんあるから気を付けないと。


 🐾ฅ^・ω・^ฅ🐾


 あたたかくなってくると、旅へ出たくなる。


 たぶん、こんなことを思うネコはぼくくらいだと思う。


 ネコは基本的に、ずっと同じ場所につく動物だから。

     

 旅へ出たくても、以前のようにお父さんとお母さんはついて来てくれない。


 お父さんとお母さんは、今年で4歳。


 人間の年齢で換算かんさんすると、飼いネコで32歳くらい。


 ノラネコの場合は、40歳くらいになる。 


 ノラネコの方が、飼いネコよりも年を取るのが早いといわれている。


 ふたりとも、旅をするのはキツくなってくる年齢なんだ。


 ぼくも今年の春で、3歳になった。


 旅へ出られるのは、今年で最後になるかもしれない。


 そう思うと、いっそう旅へ出たくなる。


 だけど、ぼくひとりじゃ旅へ出られない。


 トマークトゥス(オオカミ)のグレイさんは、喜んでついて来てくれると思うけど。


 ふたり旅は、ちょっとさびしい。


 誰か、一緒に旅をしてくれるネコはいないかなぁ。


 ダメもとで、イチモツの集落しゅうらくんでいるネコたちをさそってみよう。


 まずは、猫会議ねこかいぎをしているネコたちに声を掛けてみる。


「すみませんミャ。誰か、ぼくと一緒に旅に出てくれるネコはいませんミャ?」


「旅ニャア? ワタシは今、仔猫こねこを育てるのに忙しいニャア」


「オレは、旅に出るつもりはないニャァ。すっとここにいたいニャァ」


 どのネコたちも、首を横に振った。


 ひと通り、若いネコたちに声を掛けてみたけど、みんな断られてしまった。


 う~む……困った、誰も一緒に来てくれそうにない。


 そうだ! ミケネコのキャリコはどうだろう?


 ぼくの弟子になりたいって言うくらいだし、もしかしたらついて来てくれるかもしれない。


 ぼくはさっそく、薬草集めをしているキャリコを探しに行った。

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