再び時計塔を目指した

ミュウは夜にやってきた。

僕が寝ていると、布団に潜り込んできたのだ。

僕がそれ気付き、目を開けるとミュウも僕を見つめていた。

彼女は僕の熱を測った。

もちろん僕は昨夜のことを思い出さずにはいられなかった。

再びあのような時間をミュウと過ごせたら、どんなに素敵だろう。

それをミュウは僕を拒まないだろうともわかっていたが、ミュウの真剣な眼差しから、そうすべきでないと僕は思った。


「もう一度あの時計塔に行こう」と僕は言った。

ミュウはそれに答えず、話し始めた。

「わたしは怖いの。世界の滅亡もハルのしようとしていることにも、あなたが殺されることにも」

「ハルの計画に僕がなんらかの形で関係しているのはわかる。でも、ハルは僕を殺さない」

と僕は言った。

「どうしてわかるの?状況はここ数日でずいぶん変わっているのよ。あなたの知らないところで。もしハルがもうあなたを必要ないと判断していたら?」

「その時はその時さ」

「今度は助からないわ。奇蹟は1度しか起こらない」

「正直に言うと、ハルが僕を殺したいならそうすればいいって思う。僕はそれでも構わないって思う」

「破滅願望?」

「そうかも知れない。でも別に自棄になってるわけじゃなくて、生きてても死んでても大した違いはないような気がしてるんだ」

「ハルみたいね。あの子もそういうところがあったから」

ハルと初めて話をした時のことを思い出した。

ハルは、わたしは絶滅したっていいと思っているのよ、と言っていた。

もう随分前のことのように感じる。

「実際、僕等には似たところがあるのだと思う」

と僕は言う。

「もし、わたしが死んだら悲しい?」

ミュウは僕の身体に半分乗りかかりって聞いた。

その時、僕はミュウが何も身に着けていないことに気付いた。

ミュウの柔らかな胸が僕の腕に当たり、僕はどうしても意識してしまう。

「もちろん、立ち直れないくらいに」

「なのに、どうして自分のときは悲しむ人がいるってわからないの?」

「結局は、僕は僕のことしか考えてないのだと思う」

「勝手な人」

とミュウは言い、身体をさらに押し付ける。

僕はミュウの身体の感覚を全身で感じた。

「ハルはわたしたちの中でも特別だわ」

「石を操れるところ?」

僕は枕元に置いてあるハルの石を見る。

「それは表面に現れたことの一つよ。もっと深い部分で特別なの。うまく言えないけれど。明日、時計塔に行きましょう。大丈夫、きっと辿り着くわ」

だから、余計なことを考えず、しっかり眠るのよ、とミュウは僕の瞼に手を置きながら言うと、僕の心臓の鼓動を確かめるように、耳を僕の胸にぴったりとくっつけた。


こうして僕たちは眠り、再び時計塔を目指した。

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