メスガキ悪魔に異世界転生させられ、クラスメイトから裏切られたゲーマーの俺。エロゲー世界でレベル100の主人公になり無双する
@abierto
第1話 トンネルの向こう
修学旅行の帰り
俺、
窓の外、夕焼けに染まった山々がRPGのフィールドみたいに広がってる。
隣の
俺は「だよな、早く家帰ってゲームの続きやりてえ」と小さく呟いた。
亮太がチラッと俺を見て苦笑いした。
俺はぶっちゃけクラスじゃド陰キャ。いつもゲームの攻略やキャラの好感度上げに命かけてて、陽キャグループとは関わりゼロ。
修学旅行でも、みんなが恋バナでキャッキャしてる中、俺は寺の歴史パネルをガン見してた。ゲームの全ルートクリア、レベル100達成が俺の勲章だ。
そんな事を考えていると電車が長いトンネルに突入した。
すると車内が暗くなり、蛍光灯がチカチカ点滅した。うん?様子がおかしいぞ。と思うのも束の間。突然、ドン!って地響きみたいな揺れがする。
「キャー!!」
女子の悲鳴が響き、俺は席にしがみついて目をギュッと閉じた。心臓バクバクで、「事故か!? 死ぬ!?」って頭真っ白。
揺れがピタッと止まって、恐る恐る目を開けた。
そこはもう電車じゃなかった。
冷たい風が頬を刺し、鼻に湿った土と草の匂いがツンときた。
目の前は霧で真っ白な森。ヌルヌルの黒土に靴がズブッと沈み、グチュグチュ音が響く。
ゴツゴツした木の幹が霧の向こうにぼんやり浮かび、濡れた枝がガサガサ揺れる。遠くで獣のうなり声みたいな低いうめきが響き、背筋がゾワッ。
俺は木の根元にしゃがみ、震える手を握りしめてた。
「ここ、どこだよ……?」亮太が震える声で呟いた。
顔真っ青で、スマホ握る手がガタガタする。
「知らねえよ…やばいって、これ…」
喉カラカラで小声で返す。
亮太は俺の数少ない友達で、RPGの話なら盛り上がれるけど、今は二人ともビビりまくりだ。
「怖い…怖いよ…!」
女子が友達と抱き合って泣きそうな声を出す。
クラス中がパニックでギスギスしてる。
「ねえ、誰か助けてよ! スマホも繋がんない!」
別の女子、
「落ち着けって! なんか…面白そうじゃん。こう言う状況」
陽キャのリーダー、
そしたら、霧の奥でキラッと赤い光がチカッ。
まるでボス戦の前触れみたい。
俺の心臓がドクンと震える。
フワッと小さな影が霧から浮かび上がってきた。身長120センチくらい、金髪のツインテールがピョコピョコ揺れ、真っ赤なフリルドレスが霧の中で鮮やか。
背中にコウモリみたいなミニ翼がパタパタ、赤いハイヒールが地面をトントン。
めっちゃ可愛いけど、ニヤニヤした顔がムカつく小生意気な悪魔だ。
「ふーん、みっともない人間ども、よく来たね。あたし、偉大なる悪魔リリィちゃんだよ! 暇つぶしにゲームしてあげる!」
「は!? ゲーム!? ふざけんな、ガキ!」
「うっさい、バーカ!」
リリィが舌をペロッと出してステッキを振る。
「な、なんだよそれ!?アタイたちをここから帰せ!」
「やーだ! あたし、超優しいから遊んであげるって言ってんの! ルール簡単! 一人だけ、どんな願いでも叶えてやるよ!」
「願い!? マジか!」
「じゃあ、アタイ――」
「ちょっと待て! 怪しすぎだろ!」
すると亮太が叫んで遮る。
「悠真、お前、どう思う? こいつ、絶対ヤバいよな?」
俺は木の根元で縮こまりながら小声で言う。
「ゲームで言うとハメ技使ってくるタイプ…関わっちゃダメ…」
「は!?お前、こんな時までゲーム脳かよ!……しっかりしろよ。たっく」
「うっさい、雑魚! さあ、誰か願い言えよ!!」
リリィがステッキをブンッと振り、赤い火花がバチバチ飛び散る。
霧が渦巻き、俺たちの足元を這う。
「ねえ、悠真…マジでどうすんだ、これ…」
亮太が俺の腕をギュッと掴む。手が冷たくて、震えてる。
「わ、わかんねえ…けど、絶対罠だ…」
「ほーら、ビビってんの? ダサい奴ら! さっさと願い言わないと、全員死ぬよ!」
リリィが空中でバク転し、ゲラゲラ笑う。
すると
「おい、ガキ! アタイを世界一の大金持ちにしてくれ!」
「ふぁw ダサっ! そんなベタな願い!?頭悪いね!」
「は!? バカにするなよ。さっさとやれ!」
「やーだ! 笑えるんだけど。ねえ、金持ちって、どんなの? 札束? 金の山? ぷっ、脳みそ蟻なんじゃない?」
「テメェ、さっさと願いを叶えろ!」
「ふーん……ま、いいよ! 超優しいあたしが叶えてあげる!」
リリィがニヤリと唇を歪め、ちっちゃな指をパチンと鳴らす。
霧の中で、スポットライト浴びたみたいにキラキラ光る。
「は!? 一円!?ふざけんな。なんだこれ!?」
「それ、使い切れないほどの金じゃん! バーカ!」
リリィがハイヒールをトントン鳴らし、ゲラゲラ笑う。
「ちゃんと金持ちにしろ!札束よこせ! 億! 兆だ!」
「やーだ! あたし、願い叶えたもん!ほら、すっごい金でしょ? 満足でしょ?」
「満足なわけねえだろ! 殺すぞ、ガキ!」
「うわ、怖い怖い! ぷっ、雑魚のくせに吠えるね!」
次の瞬間、
「な、なんだ…!?」顔が青ざめ、目がグルッと裏返る。ガクッと地面に倒れ、ヌルヌルの土に顔を埋めてピクリとも動かなくなった。
「きゃあ!
「死んだ!? マジで死んだ!?」
「…やばい…!」
美咲がスマホを落とし、ガタガタ震える。
「悠真…これ、マジやばい…!」
亮太が俺の腕をギュッと掴む。冷たい手が震えてる。
「うそ……だろ」
俺は冷や汗でビショビショ、喉カラカラで囁く。
リリィの赤い目が俺と一瞬合う。キュッと心臓が締め付けられる。
「ほーら、ね?言ったでしょう?『使えきれないお金』だって 」
「ふざけんな! 殺しただろ!?」亮太が叫ぶけど、声が震えてる。
「何言ってんの? あたし、超優しいから叶えただけ! ぷっくっく!」
リリィがゲラゲラ笑う。
「ねー、特別な提案してあげる! もう一人だけ願い叶えてやるよ! でもね、条件! みんなで、誰か一人を指差して! その1人以外は、元の世界に帰してあげる!」
「は!? 指差す!?」亮太が目を剥き、クラスを見回す。「ふざけんな、そんなの…!」
俺の心臓がドクンと跳ねた。
霧がさらに濃くなり、冷たい空気が肌にチクチク刺さる。クラス中がザワつき、みんなが目を逸らし、唇を噛む。陽キャグループがヒソヒソ話し始め、チラチラこっちを見る。
美咲が「誰か…決めなきゃ…」って泣きそうな声で呟く。亮太が俺の袖をギュッと掴み、「…こんなの…選べねえ…」って小声。俺も喉がカラカラで、「だろ…やばいって…」って囁き返す。胃がキリキリ締め付けられ、冷や汗が背中をビショビショに濡らす。
「ほらほら、早く! グズグズしてると、全員ここでオジャンだよ!」
リリィが空中でバク転し、ステッキをブンブン振る。
「誰か一人、ポイッてすればいいじゃん! 簡単でしょ? ぷっ、ビビってんの?」
「ふざけないで!そんなのできる訳無いじゃない!」
美咲が震える声で絞り出す。
「ダサい奴、誰でもいいよ! 嫌われ者とか、ムカつく奴とか!くくく!」
「嫌われ者…?」
美咲が震えながら呟き、チラッと俺を見る。その視線がナイフみたいに刺さる。
「ねえ、誰か決めなきゃ…じゃないと…」美咲が涙をポロポロこぼし、友達にしがみつく。
「うっさい! 泣くな、バカ!」リリィがステッキを振り、火花が美咲の足元でバチッと弾ける。「ほら、さっさと指差せ! ダサい奴、誰? 誰? くっくく!」
陽キャグループがヒソヒソ話をエスカレートさせ、視線が俺に集中し始めた。「佐藤なら…いいんじゃね?」「あいつ、いつもゲームばっかでキモいし…」って声が漏れ聞こえる。「そうだな…佐藤なら…」って呟き、美咲も目を逸らしながら頷く。亮太が俺の袖を握る手を強め、「悠真…やばい…」って震える声。
陰キャの俺、いつもクラスの空気。
でも、こんな風に全員の視線が刺さるなんて、まるでゲームの「処刑イベント」だ。
リリィのニヤニヤした顔。ステッキの火花が俺の足元でチラチラ揺れ、まるで「次はお前だ」って囁いてるみたい。恐怖と屈辱が胃を締め付け、膝がガクガク震えた。
「さぁ決めろ!」
その瞬間――全員の指が、俺を向いてた。
「え…?」声が出なかった。
美咲や亮太まで、目を逸らして申し訳なさそうな顔で俺を指してる。
陽キャの奴らがヒソヒソ。
クラスで浮いてる陰キャだから、こんな簡単に切り捨てられたのか。
「なんで…俺?」声が震えた。
「お、 やっぱお前、嫌われ者じゃん!」
ケラケラ笑いながらステッキを回す。
次の瞬間、金色の光がクラスメイトたちを飲み込み、霧深い森から消し去った。
泣きじゃくる美咲、俺を指差した亮太――みんなくそくらえの裏切り者たちが、一瞬でいなくなった。
霧深い森には、俺とリリィだけが残された。
遠くで獣のうなり声が低く響く。まるでホラーゲームのボス戦直前の静けさだ。翔の青ざめた死に顔と、クラスのナイフのような視線が頭をグルグルする。
「さあ、早く願いを言えよ言えよ、グズ!」
赤い目が俺をジッと見つめ、底なしの沼みたいな輝きで心を抉る。
ニヤリと歪んだ唇が、まるで俺を玩具にする気満々だ。
陰キャの俺が悪魔に何を願えばいい?
間違えたら、終わりだ。
金や権力は絶対ひねられる。
安全に帰るって願っても、なんかヤバい罠があるに決まってる。
――リリィのニヤニヤした目、火花のバチバチ、舌を出す仕草。全部が「ハメてやる」って言ってる。
どうすれば…どうすれば、こいつを出し抜ける?
ふと、頭に浮かんだ。俺が毎晩やってる『異世界メモリアル♡ザ・ハーレム・フォース』
あの主人公は、どんな敵もぶっ倒し、どんな試練も乗り越える。陰キャの俺でも、ゲームの中なら最強だった。もし、あの主人公になれたら……
「決めた」俺は言った。
俺は声震えてたけど、リリィをガン見する。
「俺を…ゲームの主人公にしてくれ。『異世界メモリアル♡ザ・ハーレム・フォース』の主人公に!」
「あ!なんだ?その恥ずかしいタイトルのゲーム」
「主人公が異世界に転生して、ヒロインと最後に結ばれる……エロゲーだ」
「ふぁ!? ぷっ、ダサっ!超ウケる! しかもエロゲーって!ぎゃっははは。陰キャのお前にピッタリじゃん」
ゲラゲラと嘲笑いクルクルと回るリリィ。
「ふーん。ま、いいよ、願い叶えたげる!」
内心、リリィはほくそ笑みながらきっとこう思っているだろう
このオタク、ゲーム好きの陰キャだろ?
ひ弱なエロゲー主人公にしてやれば、あたしに逆らえないじゃん!
……でも、リリィは知らないはずだ、
俺が『異世界メモリアル♡ザ・ハーレム・フォース』を全ルートクリア、主人公をレベル100まで育て上げてたことを。スキル、装備、ステータス、全部パーフェクト。裏ボスすらワンパンで沈める化け物である事を。
金色の光が俺を包み、森が消えた。目を開けたら、俺は見覚えのある銀の剣を手に取り立ってた。
体を動かすと、頭にステータス画面が浮かんだ。レベル100、HP9999、攻撃力MAX――俺、マジ最強。
「ふーん、ゲーム始まったよ、ダサい主人公!ぷっくすくす!」
「黙れリリィ。今からお前を……わからせてやる」
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