第32話 人工災害

悪い人視点。

そろそろ完結が近い······。


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組織の本拠地、執務室にて。

洗練された調度品が並ぶその部屋には窓が少なく、昼間でも薄暗い。

奥のデスクに座る初老の男は苛立ちを隠そうともせず、若い部下の男は殺気に震えている。



「じょ、状況を報告します」

「···」

「まずご存知の通り、ジューヤダンジョンに仕込んだキメラや、暴走を誘発させた獄炎龍は全滅。被害は想定よりも遥かに軽微───」


ドンッ!!!


「ひいっ!?」



黒塗りのデスク──魔力を込めた手榴弾の爆発にも耐えるほど頑丈であり、簡易シェルターも兼ねていたデスクが拳1つで叩き壊された。



「···“アレ”の準備はできたか?」

「ま、まだです!安全性をある程度無視したとしても···おそらく数年は掛かるかと···」

「チッ」



“使えん奴らだ”

男はそう言いかけたが、既の所で口を閉じた。

数年で“アレ”を使用可能な状態まで持っていける技術者は、世界中を探しても稀だ。

物は壊れたなら新しく作ればいいが、人間はそう簡単に補充できない。

癇癪1つで潰すには余りにも惜しい。



「···まあいい、手駒はある程度割れた。時期が来たら真っ先にアカリを殺す。その次は遠瓦だ。···もう下がっていいぞ」

「ッ、失礼します!」



バタン。部下が出ていき、重厚な扉が閉まる音。



「まさかあの“出来損ない”が生きているとはな。しかもあの力···」



黒い立方体を象徴とした、全世界に拠点を持つテロリスト集団···『ブラックボックス』。

その目的は全世界の無政府化。

自分が虐げられてきた過去と、人々が何も知らずに平穏を享受する現在を精算する。

英雄と化した少女を全世界の前で殺す事は、悲願成就の大きな一歩となるだろう。



男の瞳は昏く輝いていた。



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《人工災害》

人類の叡智は悪しき災害ダンジョンブレイクをも生み出した。



《ある少年》

彼は守れなかった

誰も救えなかった

懸命に足掻いたが

全ては無駄だった

それならばいっそ


愛すべき故郷を壊した

終わりかけていた国に

トドメを刺した

流れる涙を無視して


壊した

自らの精神すらも

準備した

全てを壊すためだ

彼にはその力があった


生命を弄び

擦り減らし

最後には怨念を受け容れると決めた

その末路に救いは無い


彼は選択を間違えた



《繧「繧ォ繝ェ》

彼女が転生した場所は夜の荒原ではない。

しかし本人は何も覚えていない。

また、思い出す必要も無い。



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