第18話 暖かい血
私と悠はアキさん達のお手伝いのため、フォトウェディングの撮影に同行した。
フォトウェディングとは結婚式の代わりにウェディングドレスやタキシードなどを着て記念撮影を行うものらしい。
「最近はこの依頼が多いのよねぇ、お金かけずに楽に済むから若者に大人気なのかもねぇ。」
「でもやっぱ結婚式した方がパァーとなるからすきだわ。」
車内の後部座席に私と悠は座っている。悠はこの車の適度な揺れと独特な甘い匂いに包まれてスヤスヤと眠ってしまっている。
一応私にも甘い匂いも揺れも感じるが、それによる生体的反応は起こらないので特に眠くはならないが悠の眠る姿を見ていると、あくびをしてしまう――なんでだ?
「ねじこちゃん。もうすぐつくから悠くん起こしてくれない?」
今日は大人っぽく髪を後ろにまとめたアキさんが車のサンバイザーを戻しながらいった。
横をまた見るとまだスヤスヤと悠が車の揺れに合わせて首を動かしながら寝ている。
「もう着くよ、起きて。」
声だけでは起きなさそうなので体をゆさってみる。悠の腕は私の腕よりも太くて筋肉を感じられ、なにより血が暖かい。
「……なんだ……なぬわぁ!」
ピトッと身を寄せている私に悠はびっくりして振り払おうとするが私の体重は身長と同じ――振り払えるわけないでしょ。
「いちゃこらすんな、ほら着いたぞ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます