第8話 ネジの緩み

 重いドアを開けて先に行かせる。


「うぁぁあ広ーい」

 何も知らない子供の横でずっと下を向いて恥ずかしそうにしているフユミをからかう。


「おい初めてなのか?」

「当たり前でしょこんなとこ!」

 俺だって初めてでこんな状況は刺激的すぎるが、妹に似ている少女がいることで冷静を保てる。


「なぁ名前なんて言うんだ?」

 少しの沈黙の後少女は頭のでっかい装飾品を整えてこちらを見上げて言う。


「ねじこ!」

「ね....じこ?かなり珍しい名前だね。」


 路地にいたねじこは泥だらけだったのでフユミと風呂に入っていた。


「うわぁぁでっかーい!」

「静かにしなさい、聞こえたらどうするの!」


 なぜか声がダダ漏れの風呂に感謝しながらでっかいベットの上に寝転んでこれからとりあえずどうするかを考える。


「ごめーん、今日友達の家に泊まらせてもらうわ。」

「えぇ!誰さん?」

「あぁーリョウくん。」

「誰?その子」

「まぁ今度こっちにも呼ぶよ。」

「迷惑かけないようにね。」


 よし。これでOK。


 ガチャ


「ねぇーあのね!おねぇちゃんのねぇ....うばぁ!」

「お風呂でかかったねー!」

 手でガッチリと口を覆いうぅーうぅーと何か言いたげにしているねじこを抑え込む。


「なぁフユミ、どうするんだ?」


「私は帰らないといけないな、お泊まりなんて許すような親じゃないのはわかってるし。門限あるし。」


 なんだぁ。


「そっか、でも明日からねじこをどうするかじっくり話したいから明日もこれるか?」


「……うん。」


「おねぇちゃんたち!ありがとう!」

 急に元気に大声で言う。


「でも迷惑かけてごめんなさい.......」

 下を向いて口が震えながら泣きそうに言って、頭を下げる。


 ゴトン。


 ん?


 コロコロコロ


 ネジコの頭についていたおっきな装飾品が『抜けた』

 

 明らかにそれはネジコの頭に刺さってるはずのものだった。


 そして何よりネジコの様子が明らかにおかしくなっていった。


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