転生したら魔王直属のメイド隊長だった件 ~平和を守るためなら全力で拷問します~

katura

ようこそ魔王城へ。ご主人様の敵は、わたくしの拷問対象です♡

 ──カチカチカチ……

 オフィスに響くのは、深夜のキーボード音のみ。

 終電を逃し、帰宅も許されず、仮眠スペースという名の倉庫で過ごす日々。


「……これが、社会貢献……ね」


 ブラック企業に勤める**九条綾香(28)**は、気づけば“社会”の歯車の一部でしかなかった。

 残業代なし、有給なし、上司の機嫌取りと、部下の尻拭いの板挟み。


 ──そしてある日。


「……? え、嘘……でしょ……?」


 目の前が真っ白に染まり、気がつくと彼女は暗黒の玉座の前にいた。

 全身鎧の魔族、翼を持つ魔女、狼の耳をもつ少女たち……その中央に座するは――


「目覚めたか、“我が直属のメイド隊長”よ」


 紅の瞳と漆黒の角を持つ魔王が、まるで当然のように彼女へ微笑みかけた。


「え……メイド? 魔王? 直属……?」


 情報が整理できぬまま、突きつけられたのは一枚の辞令書(のような何か)。


【魔王軍・人事通知】

件名:直属機関「戦術特殊清掃部隊」 隊長任命の件

対象者:九条綾香殿(異世界適合者)

職務内容:

・組織内秩序の維持

・拷問による尋問

・異端排除、対外工作活動

待遇:寮完備、食事付、制服貸与(メイド服)


「……拷問?」


「平和のためだ。必要だろう?」


 魔王はごく当然のように言った。


 そしてその直後――


「隊長! 早速ですが、第一拷問対象が拘束されております!♡」


 満面の笑みで報告するのは、長身銀髪の少女・シェルヴィア。

 その手には棘付きムチと、謎の発光液体入りビン。


「……ちょっと、あなたたち、本気でやる気……?」


「ええもちろん♡ さあ、隊長もどうぞっ!」


 この瞬間、九条綾香の異世界ライフが幕を開けた。


 ──それは、血と悲鳴と、紅茶と拷問の日々であった。

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