Case4: 最強の読心魔法②

学校に来て分かったけど、さっきの現象はそのまさかだった。


(授業だりい……)(昨日のことバレてないよな……)(あれ今日田中いなくね?)(佐藤のやついつドッキリ気づくかな……)(なんかまた先生の髪後退してね?)


今は授業中のはずなのに、方々から声が聞こえてくる。


これはやっぱり、"心を読む魔法"に違いない。


僕はこの事実を、本当はもっと疑うところなんだろうけど、この前の空飛ぶ魔法のことがあるため割とすんなり受け入れた。


例の女の人、あのタイミングでこの魔法をくれたってことは、きっと一葉さんの心を読めって意味でくれたんだよな……


ちょっとズルっぽい気もするけど、一葉さんの心の内が気になっていることは事実だ。使ってみよう。



ーーーーーーーーーーーー



「お邪魔します……」


「あ、お兄ちゃん!!」

「いらっしゃい、陽向くん。」


週末。僕は約束通り一葉さんの家にお邪魔していた。


「じゃあ遊ぼうよ、お兄ちゃん!」


「こらたっくん、急かさないの。お菓子と紅茶持ってくるね。」


そういうと一葉さんはキッチンの方へと向かった。


(ええっと……チョコとクッキーがここに……あった)


僕は心の声を聞いてみたけど、特別何か考えていたりはしなさそうだ。


(まだ遊べないかな~早くお菓子食べ終わらないかな~早く~)


一方弟くんはなんというか、心の中が忙しない。


「はい、どうぞ。」


「ありがとう。」


僕は出してもらった紅茶とクッキーをいただく。


「いつもありがとね。大変じゃない?」


「大丈夫だよ。なんやかんや僕も楽しみにしてるし。」


どちらかと言えば、楽しみにしてるのは弟くんと遊ぶことよりも一葉さんに会うことだけど。ごめんたっくん。


(それってもしかして……ううん、そんな訳ないよね)


「ん?それって?」


「へ?私今何か言ってた?」


「え、あ、いやいや、何も言ってないよね、ごめんごめん!」


しまった。間違えて一葉さんの心の声に反応してしまった。気をつけないと……


「そう……?」


一葉さん、疑ってるなあ……


「ねえねえお兄ちゃん!そろそろ遊ぼうよ!」


「あ、うん!そうしようか!」


拓也くん、ナイス。上手いこと話が逸れた。



ーーーーーーーーーーーー



「じゃあ、ボール取ってくるね!」


しばらくして、ボールを取りに拓也くんが外の納屋へと向かった。その間、僕と一葉さんはリビングで2人きりになる。


あまりいい話題が思いつかず、お互い無言のままでちょっと気まずい。


(陽向くん……私のことはどう思ってるのかな……)


これは、一葉さんの心の声?


もしかして、一葉さんも僕のこと意識してる……!?それに今って結構チャンスなのでは??


(私は陽向くんのこと……ま)


「あ、あのさ!」


僕は思い切って一葉さんに声をかける。


「う、うん!なに?」


「えっとその、実は僕、一葉さんのす、好きなんだ!だから、付き合ってください!」


僕は目をつぶって、勢いよく告白する。


「……ごめん、嬉しいけど、今はまだ……」


「……!」


振られた……!

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