質問#9 「反抗期」

僕はその後退院し、学校に久しぶりに登校した。


クラスの人は僕のことを心配してくれていたが、それよりも明日からあるお祭りの話で持ちきりだった。


僕は入院していて、そのことをすっかり忘れていた。


昼休み、急いで賢のところに向かった。


「あ、和。もう大丈夫なの」


賢は僕の体を気にかけてくれた。


久しぶりに賢の顔が見れた。嬉しかった。


「明日からのお祭り、賢は一緒に行く人決まってる」


「まだ決まってないよ。一緒に行く?」


僕はてっきりもう先約がいると思っていたが賢から、先約がいない上に祭りに誘われて口角が上がった。


僕はもちろん行くと答え、賢と二人で屋台をまわる想像を膨らませていた。


「あと宗介とか永仁とかも誘ってみるね」


賢が笑顔でそう言った。


僕の膨らんだ想像はパンッと弾けた。




次の日の朝、僕はお祭りに行く準備をしていた。すると部屋のドアが開いた。


「ガサガサ音がすると思ったら、何しているの。今日土曜日よ」


先生だった。


「えっと、今日友達とお祭りに━━」


「ダメに決まってるでしょ」


即答だった。


「この前のこともあるし、だいだい、時間割通りに生活してもらわないと困るのよ」


続けざまに先生は言う。


「外で遊んでもし何かあったら責任を負わされるのは誰。ただでさえ他の子で手一杯なのに」

「赤の他人の子供の責任まで負わされないといけない私の立場になって考えて」


僕は何も言い返さなかった。先生の顔が歪んできている。


「...わかりました」


僕は先生が部屋から出ていくまで準備をする手を止め、ベットに向かった。


パタン


先生が部屋から出て行った。


「行けばいいじゃん!」


急に上から声がした。


僕は驚いてベットに頭をぶつけた。


「起きてたの」


「たまには反抗してみようよ」


「えぇ、」


僕と同じ部屋の子は続けてこう言った


「幸せなお家で育った子達はまるで別世界の人みたいに見えるけどそんなことはないよね。僕たちだけ我慢するなんてイヤだし」


僕はこの子の純粋な言葉を聞いてなにか心のどこかに響いた気がした。


窓の先は曇っている。けれど雲の隙間からは青空がのぞいていた。

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