第8話 過去を知りたい!

「七瀬君」

「七瀬でいいよ」

「…七瀬、ヒナミと七瀬ってどういう関係なんだ?」


 昼休み。

 今日はどういうわけかヒナミは学校に来ていなかった。

 お昼ご飯はプールの裏や部室やらで二人、もしくは三人(花豊先輩)で食べていたのだがヒナミがいないため、あたふたしていると偶然七瀬が食事に誘ってくれたため現在に至る。


「うーん。関係…か、難しいね」


 そう七瀬が同意を求めたのは、僕と七瀬と一緒に食事をしているメガネだった。

 メガネと言っても決して花豊先輩とは関わることのないメガネで、角ばったメガネの『まじめ』と感じだ。名前は知らないが、どうせ「たけし」とか「さとし」とかだろ。


「あぁ、簡潔にいえば『幼馴染』だな」

「そうだな、それ以上でもなければそれ以下でもない。」


 メガネのたけし(仮)は何か言いたそうな表情を浮かべ、タコ型のウインナーを口に入れた。

 その日の昼休みはそんな感じで終わった。



 ◇放課後 部室



「━━ってことがあったんですよ」

「そうなんですねー」


 僕は愚痴を吐くように放課後、テレビゲームをしながら花豊先輩に伝える。

 花豊先輩はというと、なにかゴゾゴゾとしている。


「なにしてるんですか?」

「私ですか? 私は、トゲちゃんに水をあげてます」

「トゲちゃん?」

「はい」


 僕に自慢げに見せてきたのはサボテンだった。

 サボテンって水いるのか?


「サボテン?」

「ヒナミちゃんが『私たちの部活にはマスコットキャラがいない!』と言っていたのでマスコットを作ってみました」

「…そうですか」


 僕はすぐにどうでもいい話だと察知し、モニターへと顔を向けなおす。

 本当に無駄な会話をした。


「話しが戻りますけど、」

「?」

「本人も、第三者も話したがらないのなら、探る必要はないんじゃないですか?」

「まあ、それはそうなんですけど」


 珍しくまともなことを言う花豊先輩。

 本人は自覚していないのだけれど、この何気ない発言はかなりの攻撃力を帯びていた。








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