第10話、阿波、侵攻前
「これより河野健殿と合同の評定を開く皆のもの、意見があれば素直に言ってほしい」
自分は翌朝になり部下たちに評定をするから昼間には山崎城の天守閣に集まるように伝えておいて河野健殿も部下の鈴鹿御前と山中鹿之助を引き連れて天守閣に来ていた。
そうして集まってから評定を始めた、隣には盟友として河野健殿も上方に座っていて同じ立場だとみんなに見せつけながら話を始めていた。
「大将、わかっているかもしれませんが全軍を引き連れてしまうと土佐の国に物の怪達が侵攻してくると思いますので守備兵を残す必要がありますがそこら辺は決まっているのですか」
無論その辺は既に考えている、今回は土佐に残すのは朱然は勿論のこと狐春と小喬を残して阿波に向かうのは自分、吉田政重、大喬、お松、そして兵数は5千ほど引き連れて向かうつもりだ。
そう伝えると狐春がどうして妾を置いていくのじゃと滅茶苦茶にこちらに迫ってきていた。
目の光も消えておりかなり追い詰められているような気がしていたけどその説明をする事にした。
「良いか、この土佐の守備を任せるという事はそう簡単にお願いできることでは無い。この中で一番信用できる人にお願いをしたいなと思って狐春を守りに付かせようとしたのだけど嫌だったかな?」
それを聞くと狐春が嬉しそうにしてそんな理由があるのであれば仕方がないのじゃなと言ってから座り込むとそれを見ていた大喬が話を始めた。
「全くも毎回毎回、こんな風に説明をしないと頭が回らない狐なこと。これでは私の大将が苦労をしてしまいますわ」
「そうなのじゃ?むしろ、お主と一緒にいる方が苦労をすると思うのじゃが」
「あら?いつから貴女は純粋な狐だと思っているのかしら・・・獣風情がいい加減に身を弁えろ」
「へえ〜、そんなに決着を着けたいなら今すぐにでも表に出るのじゃ」
本当に君たちは仲が滅茶苦茶に悪くない和華大戦でもこの二人は何度も口喧嘩は勿論のこと殺し合いも何度もするほどに険悪な関係であり一緒にいると殺し合いまで発展するのはよくある事。
でもさ、今は評定をしているから落ち着けと言おうとすると先に朱然がいい加減にして下さい、他の者がいる評定で揉め事を起こさないようにして下さいと大人の対応をしていた。
「あら?城に籠もって守る事しか能がない朱然さんではありませんか。貴方は大人しく城でも守っていれば良いではありませんか」
「何だと!この悪女が下手に出ていれば調子に乗りやがって!!」
「私は本当の事しか申し上げておりませんわ。悔しいと思うならそれ以外の力もある事を証明して下さい・・・・・最もそれが出来るとは思えませんけど」
頼むから大喬、色んな人にケンカを売らないでほしい。今は河野健殿も来ているのにと思っていると吉田政重がなら某はの顔に免じてと言うと大喬は皮肉な表情で言ってきた。
「貴方は一騎打ちと武芸しか能がない猪武者ではありませんか。貴方の顔は全くと価値はありませんから」
「そうで御座るか、でも殿が困っているのに黙っているわけには御座るからな。まあ、某は一騎打ちと武芸しか取り柄がないの承知でござるからな」
「まあ、貴方はある程度に自分の価値など理解している分、そこにいる狐と城番よりはマシですわ」
そんな事をしていると小喬がお姉ちゃん、そろそろ話を進めないと河野さんや豊さんが困っているよと言うと大喬はそれもそうわねと言って静かになった。
それでは話は戻るが自分も軍勢を引き連れて進軍するので恐らく伊予の物の怪達が土佐を奪い返す好機だと思って侵攻してくると予想される。
それなので自分は恐らく前線で守る事になる狐春と朱然にもしも敵が現れた時の為の策をここに記載しているからもしも接近してきたらこれを従って動いてくれると助かると言って書簡を渡した。
朱然と狐春は受け取ってからその内容を確認すると流石、主様ですなと言って大いに納得してくれていた。
それは伊予から迫りくる物の怪達を撃退する方法を書いている上に園に乗じて伊予の城を2つほど奪いたいと考えである。
勝ちに乗じて攻めるのは古来からの習いでもあるからね。今回はこちらが阿波に集中していると見せかけて実は伊予も狙っていましたと言う訳だ。
無論なことに河野健殿との約束を果たすつもりであるがそれを終えたら直ちに伊予の侵攻に取り組むつもりだ。
何が起きるのか分からないこの世界では少しでも国力を高めておいたほうが損はないと考えている。
それで後は国がまとまるように上の人たちが団結してほしいのだけど見ての通りに全くも団結とは程遠い状態なのである。
そろそろ仲良くしてくれないと困るのだけどなと感じていた。何でもかんでも大喬が色んな人に対して言ってしまうのがあんまり良くないのだけど・・・。
彼女は裏方の謀略関係の仕事を一人で任せているので滅茶苦茶に大切な人材でありそれこそいなくなったら謀略など看破する人材がいなくなるのと同じなので絶対に手放すつもりはない。
それでも他の者たちと仲良く出来ずにいるのは問題だよなと思っていた。
残念なことに今、大喬と仲が良いのは妹の小喬だけであり完全に孤立に近い状態になっていた。
それなのにこうしてこの場にいるのはやはり妹の小喬の存在が大きかった。
小喬は姉の大喬とは違って周りから滅茶苦茶に好かれていてあの狐春すらも小喬ならば仕方がないとして数少ない側室の一人として認めるほどに周りから好かれていて朱然や吉田政重とかは彼女こそ正室にするべきですと勧められるほどに。
そんな小喬がお姉ちゃんと仲良くしている光景を見せられた上にたった一人の残された家族だからと言って泣き出しそうになるともうみんなは何も言えなくなり小喬のお願い通りにするしかなかった。
そんな周りにみんなから好かれる性格の上に優しいのですっかりと鈴鹿御前と山中鹿之助とかも仲良くしているのだ。
あり得ないぐらいにコミニュケーション能力が高くないですか!と思っている。
ついでに河野健殿も小喬は欲しかったと呟くほどに周りから好かれているのだ。姉は滅茶苦茶にみんなから嫌われているのにと思っていると小喬が発言をした。
「なら私はこの場所で皆をまとめながら応援をしていますね〜」
その元気な声に先程まで冷たい重い空気だったのが一気に明るくなるほどでこれは笛の音色で動物や物の怪達を虜にされてしまうのも納得してしまう。
そんな事で次に阿波侵攻軍の編成の説明をしていると小喬が今度はみんなを心配させるような事だけはしないでねと先に釘を打ち込まれた。
やはり何も考えていなさそうにして考えていると思っていた。何も言わないと自分が今また一騎打ちをすると思っていたのだろう・・・・・正解だよ!
クソ!みんなも自分の表情を見てまた懲りていないのにねと冷たい声で言われたような気がしたけどここは気にしていたら負けだとして内容を進めていた。
そんな事もあり一騎打ちは出来ないなと発言するとそれは一国の主になったのにそんな事をしてもらっては困りますと皆から言われる中で一人だけ空気が読めない男がいたそれは吉田政重であった。
「そうですぞ!殿はこの前の戦いで一騎打ちをしたでござる!ならば次は某の番でござるから殿はまた今度にしてほしいでござる」
それを聞くと皆からこの猪武者ーー!!と叫ばれていたけど肝心の吉田政重がどうして?と頭にハテナマークを出して分からないでいた。
そのような光景を見て自分は本当にある意味吉田政重は大物だよなと苦笑いをしてみていた。
そんな事もありながらも大体の方針が決まったのでそれに向けて行動を始めることにしたのであった。
今回の作戦の要はお松に掛かっているから頑張ってほしいと伝えると任さてください、ご主人殿と言いながら自信満々な様子だった。
そう、今度の作戦はお松の力が勝敗を分かれると感じておりそのお松に激を飛ばしているのであった。
それとそろそろ本格的に狐春と大喬の仲を何とかしないとならないなと思うのだった。
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