第35話 全ての後悔は無視する

今できることは、彼が売店から出る前に自分の車へ戻ること。


そして、速やかにパーキングから出なければ。


ほとんど走るように車へ向かい、運転席に座った。


売店の方を見ながら、アイスを助手席へ置く。


アイス、食べながら運転はできないから、今食べるか、溶けるのも構わずに出発するか。


家で、もう一度凍らせて食べられはするけれど、きっと食べずに後悔と共に捨てられることになる。


こども達が小さい頃なら、喜んで食べてくれたのに。


包装を取って、溶け始めている棒アイスを口に入れる。


最中アイスにしないでよかった、と思いながら次から次へと口に入れる。


外は、薄暗いと暗いの間くらい。


彼が出てきたとして、わかるだろうか。


いつもの倍以上のスピードでアイスを食べる。


頭が痛い、なんでアイスを買ったのか、そもそもパーキングに寄ってしまったこと、全ての後悔を無視する。


細長いシルエットの男の人が売店から出てきた。


こちらの方へ歩いてくる。


まさか、そうだ、赤い車はないから、隣の車が彼の車の可能性もある。


私と似たような軽自動車だけれど。


どんな理由で前回は赤いスポーツカーで、今回は違うのか、知りたい。


もちろん、訊くことはできない。


棒の下の方にくっついている冷たい塊を全て口に含み、棒を袋に入れて、すぐにエンジンをかけた。





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