第2話 高校入学
「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます―――」
高校の入学式での校長の長い話を船を漕ぎながら耐える。
やっぱり校長の話は長いし眠い。
まあ今日はこの退屈な入学式を乗り越えれば午前中に終わるはず。
後は各クラスに集まって自己紹介とかオリエンテーションして帰れるな。
今日は帰りに打ってくか。
入学式が終わり各自割り当てられたクラスに行くと、まだほとんどの生徒は話している様子はない。
何故か男子に大半はイキってスカした感じだ。
舐められたら負けとか考えてるのだろう、全く男って奴は本当にしょうもない。
まあまだ自己紹介もしてないしそんなもんだろう。
俺もクラスには知り合いはいない。
黒板に張ってある座席表に目を通して自分の席に座り後ろの席の女の子に簡単に挨拶しておく。
「よろしくねー」「よろしくー」
程なくして先生が教室に入って来て教壇に立つ所だった、先生は見た目20代半ば身長155程の巨乳美人さんだ、好みドンピシャで下腹部が疼く。
「私はこのクラスの担任になった沢渡琴音です、皆さん気軽に琴音先生と呼んでくださいね」
その後学校の簡単なルールだったり部活動の事、授業割りの事、準備物など説明された。
「さて、一通り説明は終わりましたね、ではお待ちかねの自己紹介です、窓際の一番前から順番にお願いします」
時間かかるし誰も待ってないんよ、早く帰らせてよ。
「はい、有川 玲香です、宜しくお願いします・・・」
「れ、玲香さんの趣味は何かな?」
「・・・読書です」
自己紹介が始まった。
随分暗い子だな、身長は150位で俺より少し高い、顔も多分可愛いのに髪で隠して勿体ない。
自己紹介に対して先生が一言質問とかフォローを入れてくタイプか、マメな先生だ。
暫くして自分の番がやってきた。
よし、舐められない様にブッ混んでいくぞ!
「濡田 理沙です、WEB小説を読んだり書いたりするのが趣味です、なので部活は文芸部に入ろうと思ってます、宜しくお願いします」
俺の身長は145で平均より小さいがこれから伸びるはずだ、髪は長めで腰まで伸ばしている。
多分顔は可愛い系で胸はCで普通のはずだ。
当たり障りのない自己紹介をして終えようとするが、当然先生から返ってくる質問は想定済みだ。
「へーどんな小説を書くのかな?」
「最近はR18小説を書いています、今執筆中なのはTS異世界転生少女物で中年男性が異世界に少女となって転生し、嫌々ながらも娼婦としての日々を過ごす物語です、勿論私も主人公の娘として途中から登場します、私のイチオシのシーンは主人公が公衆便所となt」
「ちょ、ストップ、ストップ!」
気分が乗って来た所で先生に止められた。
「何ですか先生、今良い所なんですよ?これから主人公が謎の液体d」
「うるさい、黙って席に座りなさい」
「先生が内容聞いてきたのに・・・」
俺はぶつくさ言いながら着席する。
他の生徒がドン引きしているが、それで良い。
舐められたら負けだ。
他の生徒の自己紹介をぼーっと聞く。
「佐伯 聡美でーす、趣味はバスケ、好きな物は可愛い女の子です、今狙ってるのは百合ちゃんです、宜しく!」
お、元気っ娘だ、身長は160くらいで、髪をサイドに纏めていて好みの髪型だ、いいねぇ曇らせたい。
後ろの席の子にウィンクして百合ちゃんと呼ばれた方は、顔を赤くして俯いた。
百合キマシタワー、じゃあおじさんは挟まっちゃおうかな、でも何か聞き覚えのある名前だな、どこで・・・?
「へ、へえー中学でもバスケやってたのかな?」
「はい、中学でもバスケをやってました!なので高校でもバスケ部に入部したいと思います」
「元気があって良いですね、座ってください」
聡美、バスケ、元気、曇らせ・・・。
「あの、佐藤 百合です、趣味は読書です、よろしくお願いします」
この子は髪型はボブカットにした、身長は140程で俺より小さい可愛い系の女の子だ。
大人しいのを良いことにセクハラしたい。
「百合さんはどんな本を読むんです?」
「BLとかGLの同性愛物が好きです」
「そ、そうですか、座ってください」
この子も大人しそうに見えて中々やるじゃねーか、でもこの子の名前もなんか聞き覚えあるんだよな・・・
「先暴露 恵です、趣味は運動です、宜しくお願いします」
ポニーテールで身長は155程かな、綺麗で胸が大きい子だ。
んん!?
俺は今更ながら気付いた。
この子達って、前世で俺が書いてたWEB小説のヒロイン達じゃね?
前世で俺が書いていたWEB小説で、数少ない完結させた中の一つだが、男の欲望をぶつけまくりのオナニー小説だ。
前3人は何となく覚えがあっただけだったが、思い出してみるとあの先生もヒロインだし、先程の子は遊び心でつけただけの存在しないはずの苗字だ。
因みに先暴露と書いてサキバレと読む。
高校生活でヒロイン達が、酷い目に合う事になるという男の欲望を詰め込んだ作品だ。
因みにこの俺、理沙は登場していない。
でもそれにしては普通に歴史も世の中の出来事も前世の続きだな。
現に今まで何の違和感も無かったし、現実世界に俺が書いた小説が追加されたみたいな?
ま、何でもいっか、取り合えず気にしない様にしよう。
その後は何事もなく午前中で授業が終わったので、ダッシュで学校を出て着替えてから、あるお店に行って負けた。
「お姉ちゃんおかえり―!」
言いながら抱き着いて来る妹。
「ただいま、麻衣ちゃん、よーしよーし」
「わーい」
抱き着いて来た妹をわしゃわしゃと撫で回してからリビングに移動する。
家に帰ると必ず玄関でお出迎えしてくれる妹、お姉ちゃん感激です。
でもなんで玄関開けるといつもそこにいるのか、お姉ちゃん不思議です。
「はい、麻衣ちゃんこのお菓子あげる」
「わーい!お姉ちゃん大好きー!でもお姉ちゃん偶にくれるこのお菓子、何処に売ってるの?麻衣欲しいのに売ってるの見たこと無いよ?」
「ナイショ」
謎のお店の景品だからね、あれ何処にも売ってない物多いよね。
「えー、お姉ちゃんの意地悪!今日は何して遊ぶの?麻衣はカウントダウンが良い!」
「か、カウントダウンは遊びじゃないし止めておこっか」
あれは危険な遊びだ。
「えー、最近してくれなくなって麻衣つまんなーい、前は毎日寝る前してくれたのに・・・」
「今日はお喋りでもしよっか、麻衣ちゃんも今日入学式だったんだよね?どう?友達出来そうかな?」
「んー、まあ何とかなりそうかな?でもお姉ちゃんに言われた通り舐められない様に自己紹介したんだけど負けちゃったの」
負けた?自己紹介で失敗したって事かな?
「へぇー、因みにどんな自己紹介したの?」
「お姉ちゃんの好きな所、百選を話してたら30くらいで止め入ったの」
「なんで私の紹介してるのかな」
そりゃ失敗もするわ。
「でも止められても構わず話続けて、40まではいけたけど、先生が近づいてきて実力行使で止めてきたの、麻衣精一杯抵抗したんだけど組み伏せられちゃった」
本当に負けてたようだ。
「へ、へぇそれで周りの反応はどうだったの?」
「んー?なんでか知らないけど怯えてた、女の先生なんだけど乱暴すぎだよ、いきなり口を手で塞いできたから本気で噛みついただけなのに、お腹にパンチしてくるんだもん、だから鼻先に一撃入れようとしたら、そのまま手を取られて床に押さえつけられたの」
何してんのこの子、お姉ちゃんドン引きなんだけど。
「そ、そっか先生に負けない様に強くならないとね」
「うん、今のままじゃお姉ちゃんが暴漢に襲われたら助けられない事がわかったから麻衣頑張るね」
「先生が可哀そうだからほどほどにね?」
「わかった、そいえばお姉ちゃんが好きそうな人結構いたよ」
「私が好きそうな人?お姉ちゃん男は興味ないけど」
「知ってるよ、男の顔は視界に入れてないからわかんない、可愛い女の子一杯いたよ、今度家に連れてくる?」
妹の男嫌いは相変わらずのようだ。
「なんかその言い方だとお姉ちゃんが悪者みたいだから止めようね」
そんな話をしてたらママの声がする。
「理沙?麻衣?ご飯できたよ」
「あ、もうこんな時間、ご飯行こ」
「はーい」
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