第3話 過ち

日差しがさし朝になる。

昨夜のことが脳裏に焼きつく。


「なんだったんだあれは…」

タバコに火をつけ落ち着かせようとするが落ち着かない。

あまり、動揺するわけではないが今回は珍しく動揺していた。

「五月さん朝っすよ」

「お、おぅ」

今日も嫌な一日が始まりまた動き出す。


「昨夜対象が合わられたとの連絡があった相手は、あるグループにて売春の元請をしているとのことだ。

我々は地方警察に捕まる前にこれらを対応する」

上司からの指示に全員がうなづく。

「五月さんなんでこの人追ってるですか?

売春なんて、俺らの仕事じゃ…」

「指示には疑問を持つなそれが俺らのルールだろ」

春馬は少し疑問に思いながらもうなづく。


また夜になり、難波に出た。

「今日も寒いな」

「でも今日って23時になると終わりですよね。

五月さん帰るんですか?」

「わからん、帰ってもいいことなさそうだからな」

「既婚者は大変ですね…」

そういうと、

「ツー発見、発見」

仲間からの連絡が入る

対象が見つかったのだ。


私たち二人はすぐに現地に向かった。

そこは少し高めのパチンコ屋の屋上で対象は向かいのビルの窓際に座っているのが見えた。

「鮎川、ここからなら見えるか?お前ならできるな」

「はい…春馬、持ってきてくれ…」

「はい…」


ガチャ、カチ

俺は春馬が持ってきたものを組み立てる。

周りにいる人間があたふたしてる中俺は組み立てた物のスイッチを押した

いや、表現が悪いな、

組み立てた、ライフルの、引き金を引いた。

引き金を引くのに躊躇はなく素早く引いた。

50メートルも無く、サイレンサーが特注のため音とほとんど無く対象は人から人だった物へと変わった。


俺たちは国が隠したい事案や、対象を守る、隠す、暗殺する組織。

「八咫烏」のメンバーだった。

メンバーは17名、元軍人、元警察、元犯罪者などさまざまな選ばれた者だった。


「さすがだな、鮎川」

「はい…」

また、人を撃った、これで何人目だろう。

「よし、片付け」

「はい」

組織の仲間がみな、片付ける髪の毛一本まで残さず片付ける。

片付けが終わり、上司から

「現時刻22時52分任務終了とする」

とりあえず解放になった。

皆今日は飲みに行くわけにも家に帰るわけでも無く事務所へと直行した。

その日は悪夢を見た、撃った時の風景が蘇ったからだ

ただいつもと違うことがあった、

そう、あの少女との接吻が記憶に割り込んできたのだ。

ハ、

「はぁ、はぁ、はぁ、なんだこれは」

なぜこんなことに、なぜこんな…

動揺している、動揺している場合ではないのになぜ…。

こんなこと今までなかったのになぜ…

「五月さん、朝っすよ」

「あ、おう」

また、タバコに火をつける。

その日、一日の休暇を与えられたが何もしたくなかったので泥のように寝ることにした。


夕方起き

「ふぁー以外に寝れたわ」

夜何をしたらいいかわからずふと思い出す。


そうすると足が勝手に、あの子を探しに行っていた。

夜19時日が落ちる難波、

また、いろいろな欲が出ている街に来てしまった

「まあ、都合よく会えるわけないよな」

そう思い、あのビルに行こうと思ったその時


ガチャ、

「ありがとうございました」

タクシーが止まり女が出てきた。

あの少女だ、

一瞬時が止まり、少女と目が合った

「あ、あの時の、またおるんじゃ!やったね客ゲットー♪」

なんで答えていいかわからず少女のペースになってしまった。

「え、別に俺は女探してるわけでは…」

「嘘いいんさんな、ずっとジロジロみよるじゃないね、昨日も歩きよったじゃろ」

「まあ、立ち話もなんじゃけえ、どっかご飯でも食べ行こうや!」

流されるまま近くの居酒屋入った

「あんた歳いくつなん❓」

「25」

「ふーんうちは20」

「仕事は?」

「建設」

「結構儲けとん?」

「ぼちぼち」

「彼女とかはおる❓」

「いない」

少女はニコリとしながら

「じゃあ大丈夫じゃね、ホテル行こ!」

「はぁ?」

「お金払っとんのにキスだけじゃいやじゃろ

安くするけえさ」

少し悩む…

こんなに綺麗な女性に誘われるのは初めてだった。

一度だけなら、バレなければと自分に言い聞かせているが

家族、仕事のことが、頭をよぎる。


私が出した答えは

「わかった行く」


これが僕の地獄の始まりだった





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