第29.5話閻魔が告げる真実、カンナの忠告

 巴と美桜との一件を見届けた後、あたしは部屋に戻った。

 が、何故か違和感があった感じがした。

 それは、どうしてだろうか。

 巴が本当に仲直り出来てないんじゃないかと思っているのか?それとも、なにかがあって違和感を感じているのか?


 実際のところ後者が当たった。

 だろうなとも思ったよ。

 目を閉じていきなりこんな真っ白い空間に放り出されているんだから。

 どうせ、ここは例の場所と考えても問題ないだろう。


 そして、前を見てみると、どこかで見覚えのあるでかい女二人とでかい椅子と机にふんぞり返ってる幼女が居た。

「で、なんでまたここに連れてかれたのか……弁明はあるんだろうな閻魔」

 まあ、最初は無言だろうな。

 当たり前か。


「貴様…なんたる無礼!!」


「牛頭!!こいつを血祭りにあげようぞ!!」


「おう!!」

 おお、殺す構えをしてる……西園寺流、いやそれよりもさっきを感じるのは安倍流を更に昇華させてるような感じの構えに見えるからか。

 どうやら、乗り気のようだな。

 いいぜ、泣いてごめんなさいって言う程ボコボコにしてやっから。


「……やめんか二人とも」

 どうやら閻魔が止めるみたいだ。

 なんだ、残念。あたしもそろそろ暴れ足りないと思ってた頃なのに。


「牛頭馬頭、私はお前らが傷つくのは見とうないぞ。」


「し、しかし……」


「やめとけ馬頭」

 牛頭が制止しても止まらないだろうな。

 あれだけ煽られたのだから。

 まあ、めんどくさい女ではあるがそこがいいのだろうな。


 捨てられないし、傍に置いておきたい最高の存在なんだろうな。

 まあ、知らんが。


『牛頭……しかし……』


『分かってくれ……馬頭、あたしはお前に死んで欲しくないんだ……』


『それは……私だって……』


『なら、分かってくれるだろ?』


『うん……牛頭の言う通りにする……』


 まさか……こんな事をここに来てまで聞かされるとは……

 というかお前ら仲悪いイメージだったんだが?!


 いつから仲良くなったんだよ……

 あと、お前らのそのでかい身体は何とかならないのか……

 服着ろせめて。


「あたしの前で乳くりあうのはやめてくれないか?思考が全て流れ込んでくるんだが」


「な、なんだと?!」

 あーあ、こいつら神の特性を理解してないみたいだ。

 そう考えると、葵はほんとに凄いやつだと思う。

 あたしとすぐ契約した時に、思考を読む力を使いこなしていたから常人では考えられない程だ。


 だって、思考を読む力なんて一人読んだだけでも頭がイカれちまうのにな。


「それで?ここに呼んだ理由は?」


「わかったわかった……とりあえず、話して欲しい事があってな。あと、お前の罪が決まった。」


「おいおい、最後とんでもない爆弾が爆発したな」

 罪って……

 まさか、罪状がここで決まるのか。

 いや、なぜあたしが裁かれないといけないんだよ……


「なぜ裁かれないと思った?」

 まあ、禁忌を持ちかけたのはあたしだし……しょうがないっちゃしょうがないけど……

 でも、考えてみればあの子にはそういうのは言ってなかったからもしやとは思ったが……

 なるほど、あたしが狙いだったか。


「話して欲しい事は、お前の過去のことだ。」


「あたしの過去?」


「ああ、澪のお母さん……いや、麻宵お前はなぜ、カンナとして生きることになったのか。それを教えてもらおう。」


「……」

 あたしの過去……

 困ったな……あんまり覚えてる訳じゃないのに。

 でも……そうか、カンナとして生きる選択をしてこうしてまたあたしの可愛い娘に出会えたのだから……話すのもありだな。


「わかった、話してやるよ。ただし、あの子にだけは絶対言うなよ?」


「分かってる」


「助かる……それじゃ、どこから話すか…」

 と言っても、あたしが死んだところからの方がわかりやすいか。

 まあ、それぐらいしか覚えてないがな。


「まあ、まずはあたしが死んだところからだ。あたしは第一次神人戦争で命を落とした。そこで、死んだと思ったんだよ。」


「実は、死んでは無い」


「そう、魂だけが分離してあたしは彷徨い続けた。文字通りずっと迷子だったんだよ。」

 彷徨い続け…彷徨い続け……

 あたしは、何処に行けばいいか全然分からなかった。

 身体を失った神はやがて天に昇るとか言われていたがそんなこともなく、あたしはこのまま永遠と彷徨い続けるのだろうと思った。


「だが、違った。」


「そう、あの子……西園寺愛莉ちゃんに出会った。それが、最悪の出会いだったのかもしれないけどな。」


「そこでお前は付喪神になったというわけか……」

 だけど、まさかあんな形で澪と再会する羽目になるとは全然思わなかったよ。

 だって実際、あの子は神を殺すことを生業にしてたけど澪はそう簡単に倒されないということを知っていたから諦めて欲しかった。


 でも、愛莉ちゃんはほんとに諦めが悪かった。

 諦めが悪くて、とても強情で、でもほんとに強かった。

 だから、この子に協力してみようと思った。

 この子なら、澪と互角に戦う事が出来ていつかは共闘して西園寺家を滅ぼすことが出来るんじゃないかと。


「だが、それは叶わなかった。」


「ああ。」

 西園寺蒼月……

 そいつが、愛莉ちゃんを殺した。

 そして、澪の因縁の相手の一人。


 殺す必要なんて、なかっただろうに。

 でも、死ぬ前に確か……澪ともう会うなとか言われてたような……

 だから殺す……というのは余りにも酷すぎる。それであたしもこいつのことは死ぬほど憎んでいる。


「憎んでいるのは分かる。だがだ、刀の中に乗り移ったということは……」


「ああ、蒼月に刀だけは回収されたからな。それからずっと……長い間、西園寺家の改革や色んなことを見てきたよ。ほんとに……その時間は最悪だった。」

 実際……思い出すだけでも……ほんとに嫌な記憶だよ。

 記憶……というより、観測というべきか。

 ずっと、ずっと……

 自分が望んだとはいえ縛られ続けるのは苦痛だったな。


「……すまないな」


「どうしたどうした、閻魔が謝ることなんてないんだぞ?」


「だけど……」

 ほんとに……

 お前も相変わらずだな、閻魔。

 自分を責めて自分が悪いように背負いこもうとする。


「全然、お前も変わらないんだな」


「え……?」


「千年前から、閻魔ちゃんは全然変わらないね」


「……麻宵が、変わりすぎなのよ……」

 確かに……そうだな。

 あたしが……ウチが変わりすぎているからこそ周りが変わってるように見えたけどやっぱり全然変わらないんだな。


「牛頭馬頭の方こそ驚いたよ、だってこんなに仲良くなってるなんて。」


「それは……牛頭の方から」


「何を!め、馬頭だって……」

 千年前じゃ全然考えられなかった。

 やっぱり、周りも確実に変わっているんだな。

 この世……というより現世に居れてほんとに良かったなって思うよ。


 でも、罪状やら何やら言ってるってことはもうあたしの罪は決まっているということか。


「それで、罪はなんだ?」


「罪状……それは……」


「……」


「生きろ。」


「は……?」


「ただ娘の為だけに生きろ。もし、これを守れなかった場合は永久に地獄の底の亡者共の餌にする。いいな?」

 そんなので……いいのか?

 だって、禁忌をおかしんだぞ?

 それに、あの子を苦しめるようなことをしたのに……

 なぜ……


「お前、言っただろ?親心と。なら、私は親子に信じてみようと思った……それだけだ。」

 全く……お前もお前で勝手だ……

 勝手だけど……


「悪くない……というより、そういうところだぞ?お前のずるいところは」


「ふふ、惚れ直したか?」


「ああ」


「なっ……///」


「まあいいや、あたしは帰るぞー」


「も、もー!!」

 照れてるお前も可愛いな、相変わらず。

 あたしは白い空間の端にある扉から現世に戻った。


「澪……」

 眠る我が子を見つめながら、自分はあとどれだけ生きられるのだろうと思い自分が眠くなるまで傍に居続けた。


 to be continued

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