異界の刀鍛冶 ~1日5分の最強勇者~
前田 裕也
第1話 神の依頼
「ほう、 ” 神 ” とおっしゃる」
「うむ、我は神、しかし異世界の神である」
「
ここは我が家、散らかってはいないが古く狭い家で、その中に
「実は一つ頼みがある、そなたは
「はい、その通りで、代々刀鍛冶をしております」
「そこを見込んで別な場所で勇者の剣を造ってもらいたいのだ」
「遠くでですか? 勇者とは剣の達人の事ですかな?」
「そう、遠く、異世界である、 達人の為の剣だ、名刀が必要なのだ」
「これは・・名誉なことですな、神から名刀を
「では、引き受けてくれるか?」
「しかし、 私はこの地で代々鍛冶をする身で・・いきなり異世界へとおっしゃられてもこちらでの仕事や付き合いもございますし・・・」
「うむ、
これは痛い所を突かれたと思った。
確かにその通りなのだ、最近は実戦用の刀の出番がない。
売れるのは美術品、装飾用の剣であり実戦用は売ってしまう人もいると聞く。
生活の為には仕方ないが、戦はほぼ無く必要のない剣など出番がないのだ。
かくいう自分も美術用の剣を打たねば、生活が危うくなりそうなところであった。
だが自分はそんなものは造りたくないのだ。
村正のような名刀を打ちたいと幼い時より思っている。
ようやくそれに近い物が出来るようになったのだが・・・ 既に遅かったかと。
もう自分の剣が世に出ることは無いだろうと、そう思っていた矢先であった。
「どうかな? そなたの名刀を達人に振らせたくはないか?」
ーーーーーーーーーーーー + ーーーーーーーーーーーー
心にしみいる一言だ!
それは願ってもない事、まさに、そうなのだ。
だが、これを鵜呑みにして良いのか?
自分は幼い時より刀鍛冶に没頭をしてきたのだが、それゆえに、世間知らずとさんざん言われても来た、・・・・・ 世情に
神様と言われて、そのまま信じてよいのだろうか?
神といっても色々いるし、神でないのにそう称してだますのもいると聞く。
この申し出を、鵜呑みにして良いのだろうか?
受ければ異世界に連れて行かれるが、果たしてどんな世界やら?
地獄かもしれぬぞ!
むむむむむ・・・
良い話とは思うが、何か、何か確かめる手立てはないのか?!
「では恐れながら、神様、条件を付けてよろしいでしょうか?」
「ほう、条件か、 申してみよ!」
神は怒る様子無く
「私を今、剣の達人にしていただけますか? 5分だけで構いません、私を達人に」
自分は剣術をいくらかはやって来て試し切り程度はできるが、達人には程遠い。
だが神様なら一時的に達人にする程度はできるはず。
達人の何たるかを知らずして、名刀を求めるわけはないとそう思うのだ。
どうだ? 善なる真の神なら出来るはず!
それとも怒りに触れて私は消し飛ばされてしまうだろうか?!
手が汗ばんで、背中に汗が流れているのを感じ喉がひきつる。
「うむ! よかろう!!」
神が後光を
そしてそのまま手を伸ばしつつ歩み寄り、肩に手を置かれた。
「そなたを剣の達人と成す、勇者の力と技を授けよう」
すると自分の体さえ、輝くように感じて力がみなぎっていく。
「こ、これは何と! ・・・・」
「どうだ? 剣を振るってみよ、そなたにもわかるであろう」
自分で打った剣を握って鞘から抜くと、手に吸い付くようでしかも軽い。
剣が体の一部のように先の先まで感じ取れる。
今までとはまるで違う体感と、技が、自分の中にあるとわかる。
これが・・・・達人の体なのか?! 本当か? しかし気のせいではない。
「わかったかな? ではそこの枯れ木を斬って見よ!」
神は笑みをうかべてそばに立ち、庭の木を指さした。
それは私の幼少からある大木なのだが、寿命なのか枯れてしまって葉は落ちている。
根元は幅1mほどもある物だ。
それを斬れと?
いつもは巻き
だが、自分の体は肯定している。
上段(じょうだん)に構えて丹田(たんでん)に気を込めて、 ー 体が動いていた。
大木までの間を一瞬で詰めて振り抜いている。
斬った・の・か?
意識が付いていけなかったが、体はそれを感じている、が、本当に?
「うむ、見事!」
神がそう言うと、幹がゆっくりと動き出し傾いていく。
そして家の反対側に倒れ垣根が一部壊れた。
家をやられなくて良かった・と、思ったが・・・・ああ、そうかここを出るなら
家が無くなろうと、もういいのか。
そうして私は、異界に行くと決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます