第16話「神楽とチョコバナナと、心の叫び」
(場所:神社の境内。大きな鳥居の下、ステージの片隅で舞台の準備が進む。鈴の音が風に揺れて、蝉の声が重なる)
アカネ:「……なぁ、陽向。あんた、ほんとにやると?」
陽向:「やるったい。せっかくフェスの特別演目に誘われたっちゃけん!」
アカネ:「いや、神楽って伝統芸能やろ!?うちら、さっきまでたこ焼き食べとったばい?」
陽向:「逆に言うたら、胃も踊る準備できとるっちゃね!」
アカネ:「……胃袋が踊ってどげんするんや」
(そこに、神社の巫女さん・ユウリ登場。白装束に身を包み、どこか儚げな雰囲気)
ユウリ:「あなたたちが“ヒナアカ”…ですか?」
陽向:「は、はいっ!今日の“叫び神楽”に出させてもらいます!初心者ですが、よろしくお願いします!」
ユウリ:「……叫び神楽は、波留ノ町の“声”を継ぐ儀式。踊りだけじゃなくて、“心の叫び”をぶつけるのです」
アカネ:「心の叫び……ね」
ユウリ:「では……始めましょうか。“魂の舞い”、楽しみにしてます」
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(境内に集まる観客。神楽の音が静かに鳴り始める)
アカネ(心の声):「……ほんとに踊れるんかな。私たちが、伝統の舞台に立つなんて」
陽向(心の声):「わけわからんまんま来てしもうたけど……やるっきゃなかばい!!」
(ふたりがゆっくりと踊り出す。扇子を広げ、風を呼ぶように)
観客:「あら、意外と綺麗やん?」「ほら、ヒナアカやん!」「あの右足脱げた子や!」
アカネ:「そろそろ……“叫び”の時間やけど、陽向……いける?」
陽向:「うん。……あたし、叫ぶけん。ここまで来た“思い”、ぜんぶ!」
(音が止まり、陽向が境内の中央へ一歩進み出る)
陽向:「――うちはっ!!ドジで、アホで、博多弁バリバリでっ!!」
観客:「!?(ざわざわ)」
陽向:「でも!VTuberとして生まれ変わって、みんなに笑顔ば届けたくて!!がむしゃらに走ってきたっちゃん!!」
(風が強く吹き、鈴の音が一瞬鳴り響く)
陽向:「うち、まだまだ上手くなかかもしれん。でも、うちの“声”は――届くって信じとるけん!!」
アカネ(小声で):「……陽向」
(再び踊りが始まる。観客は拍手。空には風鈴が鳴り、蝉の声が静かに響く)
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(終了後)
ユウリ:「……驚きました。あなたたちの叫び、届いてました。町の人の心に」
陽向:「へへっ、ありがとございますっ!」
アカネ:「ま、半分勢いやったけどな……でも、うちらなりに頑張ったけんね」
ユウリ:「本殿に、“伝承ノ鈴”が置かれました。あなたたちの名前も、未来の記録として刻まれるでしょう」
陽向:「えっ!?マジで!?伝説なった!?うち、伝説入りVTuberになったと!?」
アカネ:「まだフェスの途中やけん、浮かれすぎんなよ!」
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【次回予告】
次回、姫星との直接対決ステージ!?
伝統を越えたヒナアカが、次に見せるのは“本当の歌”――
第17話「バズか、罵倒か!?VSシャイニー姫星、勝負のステージ!!」
見らんと損ばいっ!!伝説の続きを聞かんと後悔するっちゃけん!
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