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雪沢 凛

あなたはなぜ、書き続けているのですか? 主催者:発芽 2025年4月5日

誰にも読まれなくても、私は書く

これは、「なぜ私は今も物語を書くのか?」

その理由を、過去と現在の自分に問いかけるように綴った記録です。


20年間心に抱えていた物語。

社会に出て、書くことをやめた私。

そして、小さな悔しさから始まった「もう一度書こう」という決意。


たとえ読まれなくても、理解されなくても、

物語は私の中で、生き続けている——そんな話です。


◇ ◇ ◇


 小さい頃から、そして今でも変わらず——話すのが苦手で、ACGを愛する筋金入りのオタク女子です(笑)。


 周りの同級生はそういう趣味にあまり理解がなく、学校ではほとんど友達がいませんでした。


 でも中二の頃、初めて同じくACGが好きな友達に出会ったんです。しかもその子は運動も得意で、明るくて、周囲の目をまったく気にしないタイプ。


 私とは正反対なのに、すごく気が合って、二人で小説の書き合いっこをするようになりました。


 小説を書き始めたきっかけは、いとこたちと一緒に遊ぶために作った「なんちゃってTRPG」でした。


 もちろん当時はTRPGという言葉すら知らなかったけど、完全自作で物語を考えてシナリオを作って。

 遊びが終わっても、その世界観が心に残っていて、「もったいないな……」と思ったのが最初のきっかけです。


 ただただ暇だったし、同じ世界を共有できる仲間がいる。それだけで、書くのが楽しかった。


 ある日、それを先生に見つかってしまい、「授業中に書いてもいいけど、あとで見せてね」と言われて、読者が一人増えました(笑)。


 なぜか作文の成績だけはやたらと良くて、教室で範文として読まれたり、図書館の掲示板の一角で連載をしたり、校内誌にも載せてもらったりして。


 でも――肝心の進学試験では、まさかの国語「不合格」。


 先生は「君の文章は独特だから、たぶん採点者に理解されなかっただけだよ」と言ってくれたけど……

 その言葉ではあまり慰められませんでした。評価されるものだと信じてた「言葉」に、背を向けられたような気がして。


 そんなふうに物語を書いていた学生時代も、社会に出たあとはぴたりと止まりました。

 だけど、ある一つの物語は――私の中で、20年ものあいだ、ずっと生き続けていたのです。


 なぜ今になって、再び書き始めたのか?

 それはきっと「悔しさ」だったと思います。


 私はゲーム会社で企画職として働いています。ときどきキャラクターの設定や小さなストーリーも担当します。


 数年前、たった2〜3人の小さな会社に入り、ウO娘系のゲーム案件を任されました。

 でも、当時の上司は「物語やキャラ紹介なんて意味ない。可愛ければ人気が出る」と言い切りました。


 結果は――もちろん失敗。


 ユーザーからは「キャラに中身がない」と叩かれました。

 私は言いました。「たとえ30文字、100文字でも、そのキャラの背景が必要なんです」と。


 でも彼はこう返しました。


「じゃあ、その短い文章で“人気が出るキャラ”を書けるのか? お前には無理だろ」


 ……私は悔しかった。

 私は「中身のあるキャラ」が好きなんです。深くて、迷ってて、何かを抱えていて、それでも生きてるような存在が。


 たとえ、誰にも理解されなくても。

 それでも、私は書きたいと思った。


 そして――

 あの20年間、心の奥に生き続けていた物語。

 ついに完結させることができました。


 でも、それがゴールではありません。

 まだまだ、書きたい物語がたくさんあるんです。


 📘 私の20年越しの物語

『デビルハンター』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093093220550373


 読んでくださった方、本当にありがとうございます。

 小さな物語でも、どこかで誰かに届いていたら嬉しいです。

 今後とも、よろしくお願いいたします。

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