Voo Doo Childー陰陽庁京都支部局長に就任した13歳の少女の物語

夜桜一献

陰陽庁怪異対策課京都支部

第1話



 京都にある交差点を一人の少女が歩く。年は若くまだ子供と言っても差し支えはない。耳まで下ろした栗毛の髪、凛とした顔立ちの少女は目の前で転ぶ幼い子供を見た。すぐに駆け寄って、泣き始める幼児の前に膝を曲げる。


「大丈夫?⋯⋯⋯じゃないね」


少女がポケットからハンカチを取りだし、少年の怪我をした膝に当てた。母親がすみません、と駆け寄る。わんわんと泣く幼児に、困った顔をして少女は伝えた。


「今から、お呪い(まじない)唱えてあげる。痛みも引くよ」


人の言葉、人の思いは現実に作用する。

悲しい時に応援歌を聞いて癒された事はあるだろうか。自分に厳しく制約を課す事で、普段よりも実力を発揮して何かを成し遂げた事はないだろうか。人の言葉や思いの強さは無限の可能性を秘めている。


「痛いの痛いの飛んでいけ!!」




ーーー何せ、あれだけ泣いていた子供が



たったこれだけですぐに笑顔になるのだから。


これは“思い”の物語


陰陽庁京都支部局長 朝倉京子(あさくらみやこ)と


彼女に集う仲間達の物語。



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