リバース・ワールド
萩野栄心
第1章 幼稚園編
第1話 やまびとさん
あるふもとに、たいへん りっぱな こころざしの わかものがいました。
すこしでも こまっている だんせいを すくいたい いっしんで、だんせい はつの いしゃになりました。
そんな かれの もとには、きょうも たすけを もとめ、さまざまな ばしょから やってきます。
やまびとさん、やまびとさん。あたまが いたいんです。はなしを きいてくれませんか。
やまびとさんに みてもらうと、みんなは えがおになり、かんしゃを つたえ、あしどりを かるくして かえっていきます。
かれは やまびとさんと したわれ、しあわせな まいにちを すごしていました。
ところが、おおくの ひとを おそう おおきな さいがいが おこりました。
でも、やまびとさんは くじけません。おそわれても こえをあげ、あしを うごかし、きゅうじょかつどうを おこないました。
きずつく すがたは みんな おなじ。やまびとさんは なれない じょせいにも、てを さしのべました。
そんな やまびとさんの ちからになりたいと ねがうのに、だんじょの ちがいはありませんでした。
あつまるひとを まえにすると、おそれる きもちも ありました。しかし、みんなの ちからが ひつようなのです。
なおすときは へいきでした。それなら、ちからを あわせることも できるだろう。やまびとさんは ゆうきを だしました。
ひを またぐごとに、やまびとさんも だんだんと てごたえを かんじてきました。
きゅうじょたいの なかに、ひとりの じょせいがいました。こころざしに ひかれて、かつどうに さんかすることを えらんだのです。
ただ、こえの かけかたがわかりません。だんせい なんて、はなしたことも なかったのですから。
それでも、たいへんな まいにちは すすみます。やまびとさんは、いつも やさしく おしえてくれます。きゅうじょと おなじで、じょじょに できるようになっていきました。
じょせいも、やまびとさんも、みんなも えがおが ひろがっていきました。
やまびとさんは、おかしくて わらってしまいました。こんな せいかつが うまくいくとは かんがえもしなかったからです。
あるひ、やまびとさんを よぶこえが きこえました。くすりが みあたらないようです。さがすと、かんたんに みつかりました。どうやら、だれかが まちがったみたいでした。
やまびとさんも おつかれです。もう じゅうぶんでしょう。わたしが いやします。
やまびとさんは、こえに びっくりです。どうしたのと、はなしを ききました。しかし、わからないのです。これには、さすがの やまびとさんも こまりはててしまいました。
うなりごえが きこえます。どうして、わたしだけを みてくれないの。みんなばかり。わたしの ものに ならないのなら。みるみる かおつきが かわり、ギラリとならんだ おおきなキバを みせました。
とつぜんの できごとに、うごくことすら できません。さらに、ちからでは とうてい かなわない あいてです。やまびとさんには、どうすることも できませんでした。
かわいそうに かんじた かみさまは、やまびとさんに すくいを あたえました。
やがて、やまびとさんは かえってきました。しかし、かつての やまびとさんは、もうどこにもいなかったそうです。
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