黒色の怪物、厄神刹那

HAZIME

001「これはそういう物語」

厄神刹那やくがみせつなは、私にとってかけがえのない大切な人間である。

他の誰にも変えがたく、かけがえのない大切な人。

私は彼に少なくとも5回以上は救われている。

命の恩人なんて言葉が釣り合わない程に、彼は私を地獄の底から引っ張り出してくれた。

多分、私は彼をどんなに助けたとしても、恩を返せたなんて思う事はないと思う。

今から約3年前、どん底のどん底に立たされ身も心も尊厳すらもズタボロだった頃、私に手を差し伸べてくれた。その差し伸べられた手は大袈裟でもなんでもなく、神様からの救いの手に見えた。

今でもその時の事を思い出すだけで、ぐっと胸の奥から熱が込み上げ彼を鮮明に思い出させてくれる。

ここまで話すと、厄神刹那やくがみせつなは正義感が強くて慈悲深い素敵な男性に思えるかもしれない。

しかし、厄神刹那やくがみせつなはそんな人間ではなく、むしろその逆とも言える。

別に彼を悪く言いたい訳でも嫌っている訳でもないけれど、この事を言っとかないと後で彼の話が独り歩きしてしまうかもしれないから、私はこの事をしっかり押さえておく必要があると思う。

厄神刹那は情で人を助けたりはしない。

この事だけは、彼と過ごした身として断言できる。

彼は一度として合理性を欠いた事はなく、どんな相手にも対価を支払わせた。

と言っても、人によってその対価は微々たるものだったり大きかったりするのだが、だとしても彼は絶対に対価を払わせる。

私もまた、彼に対価を支払っているのだが、その対価が貰ってる対価に見合っていない程大きかった。

結局私は何が言いたいかというと、彼は情だけでは人を助ける事はせず、どんな相手でも絶対に対価を支払わせる。人というよりも機械の様な余りにも人間味のないそんな人だって事。

でも私は、あの瞬間、確かに厄神刹那に救われた。

その想いだけは、何があっても決して揺らぐ事はないと思っている。

さて、前置きが長くなって申し訳ないけれど、最後に一つ言わせて欲しい。

この物語は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○で、○○○○○○○○○○○○○○○○だという事を。

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