第4話 雨の日はチャンス
七月に入った。梅雨も本格的になり、雨の日が多くなった。自転車で大学まで二十分も掛けて通っている俺は流石にレインコートだけは安物を使っていない。
六時間濡れっぱなしでも染み込まないという有名スポーツ用品メーカーの活動的なレインコート来ている。
流石にこれだけはお金を掛けた。だから台風でもない限りどんな雨でも体が濡れている感感覚は無い。
今日も午後九時にアルバイトを終わってアパートに戻ると俺のアパートの入口に随分濡れてスーツケースを持っている人がいる。
ここのアパートは駐輪場に屋根が付いているので自転車がびしょ濡れになる事は無い。鍵を掛けた後、二階に上がって俺の部屋の近くに来ると濡れた体の人がこっちを見た。
「遅いよ、涼」
冗談だろう。なんで御陵さんがずぶ濡れで立っているんだ。
「あの、なんでここに?」
「涼を待っていたからに決まっているじゃない」
「はっ?いやいや……どういう意味?」
「そんな事どうでもいい。このままじゃあ、私風邪引いちゃうよ。早く部屋の中に入れさせて」
「いや、でも…」
「私が肺炎で死んだら化けて出るからね」
大手さすぎるだろう。でもここでは周りの人に声が聞こえすぎる。
「わ、分かったから。ちょっと待って」
俺はポケットから鍵を取出して玄関を開けると御陵さんを部屋に入れた。
「ふーっ、風邪引くかと思ったよ」
「あの、何でここに?」
「決まっているじゃない。今日から私はここに住むの」
「はぁーーーーーっ?」
レインコートを脱ごうとして手が止まった。このお嬢様何言っているんだ?言葉も出ないままに御陵さんを見ていると
「ねえ、着替えたいの。このままじゃ本当に風を引く」
「わ、分かった。お湯のスイッチ入れるから、そこのドアを開けてお湯のシャワー浴びて。あっ、タオルはドアの前に置いておくから」
「うん♡」
§御陵
ふふっ、作戦第一段階大成功。雨の日を狙って強引に来れば涼は追い返す事は絶対に出来ない。案の定、お風呂を用意してくれた。
どう言う事なんだ。こんな雨の日、どうして俺の所に。とにかく暖かいシャワーを浴びたら冷静になるだろう。
私は冷えて…いない体を暖かいシャワーで更に温めて、髪の毛をくるっと撒いてタオルで包むと、体を彼のバスタオルで包んだ。ふふっ、結構魅力的な匂い。でもまだまだ我慢。
「ありがとう、凍え死んじゃうかと思ったよ」
外の最低気温は二十度超えているのにそんな事無いだろうと思いつつ
「それは良かった。温まった?」
「うん♡」
「ところでどうしてここに?」
「その前に暖かい飲み物ないかな?」
「インスタントコーヒーでいい?」
「うん、いいよ」
俺はお湯を沸かしてから粉のコーヒーをカップに入れてお湯を注いだ。
「ありがとう。とっても暖かいよ」
「それは良かった。所で…」
「あっ、ねえ、取敢えず荷物を部屋に置きたいんだけど」
「はっ?!どういう事?」
「うん、私は今日からここに同居するの」
「え、え、えーーーーーーーーーーーーっ?!」
「そんなに大きな声出さないで。お隣さんに聞こえるでしょう」
「いや、そう言う事では無くて…」
「いいじゃない。何か問題あるの?」
この子頭の中大丈夫か?
「あの、ここは俺の部屋なんだけど?」
「うん、知っている」
「あの、俺、貧乏学生」
「うん、知っている」
「俺、男」
「うん、知っている」
「この部屋狭い」
「うん、知っている」
何となく順番に聞くのが馬鹿らしくなって来た。
「だからぁ、ここは俺が一人で住んでいて、狭いし、ベッドはシングル一つだし、それに…俺男だし」
「うん、知っている」
駄目だ。どうすれば帰ってくれるんだ?
「だから、君は女の子、俺は男。分かる、この意味?」
「うん、分かっている」
こうなったら
「なあ、今から、御陵さんを強引に襲ったらどうするの?」
「うん、いいよ」
「はぁ?!」
俺は何か勘違いしているんだろうか?
「涼が良いんだったらこのタオル脱いでも良いけど」
「だ、駄目にきまっているだろう。とにかく向こうの部屋で着替えて来て」
「うん♡」
はぁ、御陵さん、何考えているんだよう。
―――――
書き始めは皆様の☆☆☆が投稿意欲のエネルギーになります。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます