全員タンクですが何か?〜防御力こそ最強の証明〜

スパニッシュオクラ

第1話 鉄壁の盾

「我ら、鉄壁の盾アイアン・ウォールズ!!防御力こそ正義!」


 剣も魔法も使えない。ただ、ただただ固い。

 攻撃しない。回復しない。小細工しない。

 ただただ前に立ち、殴られ、耐え、そして時々、気が向いたら反撃する──


 それが、彼ら鉄壁の盾アイアン・ウォールズの戦い方。


前衛? 全員前衛。

後衛? いない。

火力? 気持ちで補う。

回復? 唾つけときゃ治る。

機動力? 立ち位置は“据え置き”。

戦術? 筋肉で押し切る。


「タンクなんて一人いれば充分だろ?」

 そんな偏見と罵倒にさらされ、どこのパーティーにも居場所のなかった“盾バカ”たちが、偶然酒場で出会い──共鳴する。


動かざること山のごとし。

倒れざること鉄壁のごとし。

進まざること……いや、ちょっとは動け。


世間に見捨てられた彼らが、なぜか、なぜか──


「世界を救う」とかいう壮大すぎる命題に、真正面から突っ込んでいくことになるのだった。


最強は誰だ? 勇者? 賢者? 剣豪? 違う。


“最強は、最後まで立ってた奴”だ。

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