その女は誰なのだろうか


物語の中では、発見された白骨は四体出てきます。老女が二体、中年の女が一体、若い女が一体。そのうち三体は血縁関係、つまり祖母・母・娘で、もう一体は「余分な老女」。

つまり、その四人目の女は、家族ではないけれど、心でつながっていた人物。女は「幼馴染」だと言います。声をかけられて、一緒に逃げた老女。
「わたしには分かるわ」、「一緒に逃げたのよ」

女がなぜか「断言」していることから、この女自身が、その「四人目の女」に自分を重ねているようにも思えます。

では、女が語りかけている男は誰でしょうか。
女にとっては、この男も「心でつながった存在」で、この「血のつながりではなく、心のつながり」が、この物語における本質的なテーマないでしょうか。

また朝吹さんが「語り手」の女で、男はこの物語を読んでいる「我々」なのかも知れないと思いました。

噛めば噛むほど楽しめるスルメ系短編でした。ありがとうございました。