第4話
「な、なんだ!」
一瞬の暗転に思わず声を出す。目はすぐ直ったが、暗転前とは若干風景が違っていた。左上には見慣れない文字と数字、左下には小さい地図が表示されていたのだ。
(焦った!これがこの魔道具の効果なのか…一つずつ確認するしかないな)
まずは、左上の文字からだ。注視するとこのように表示されていた。
user 7
MP 37/110
STR 9
VIT 11
DEX 11
AGI 13
これは、ステータスってやつだな。ステータスとは教会で祀られている7柱の神様である龍神様が編み出したシステムだ。内容も教会にお布施を払って龍神様に祈りを捧げると確認できるものと大して変わらない。一部user 7っていうのだけが不明だ。
内容を説明すると、MPは魔力量だな、37が現在の魔力量で、110が魔力総量を表している。今日は、逃げるのにウィンドアーマーを2回、剣を吹っ飛ばすのに1回の計3回魔法を使った。
(魔力使用量73を魔法使用回数3で割ると24〜25か、魔法1発約25の魔力量で使用していることになる。俺は1日4回までしか魔法を使えなかったから、たぶん合っているだろう。あまり使えない知識が増えちまった)
魔力総量は魔法を使うと、たまに増える。一般人の初期魔力総量は25〜100とランダムだ。たまに初期魔力総量100越えの天才がいる。
後のステータスは、そのままだ。STR は力、VIT は体力、DEXは器用さ、AGIは素早さである。15歳までは、年齢が平均値で、10歳の平均値は10だ。どのステータスも鍛えれば鍛えるほど上がるが、限度もある。昔、教わった内容だ。他人のステータスを観たことはないし、実際は分からない。
(俺は、平均よりも足が速いという指標にしかならないな。他人のステータスも確認出来たらよかったのに。まぁ、ステータスはこんなもんだと覚えておこう)
次は、左下の地図を確認する。
(キャンプのある廃村までは描かれていないから、俺を中心におおよそ半径100mが描かれているのだろう。地図といっても、結構写実的だ。上から見ているのか?)
真上を確認してみても何もなかった。どういう原理で描かれているのか想像がつかない。
(魔力を発している様子もない。魔力効率も大丈夫か。後は、特に変わりはない……。珍しいマジックアイテムだが、特に得られるものはなかった。売るにしても金になるだろうか……? お布施を払わなくてもステータスを確認できるという点を売りにしよう)
リングに続いて、手紙の入っていた鞄を漁ることにする。
(鞄の大きさに対して、中が明らかに広い!マジックポーチだ!)
マジックポーチは高級品だ。値段は性能次第だが、スカベンジャーにとっては一度に運べる量が変わってくる。捨て値でしか買い取ってくれないなら、仕事道具にするのも手だろう。
中身も、欠損以外ならどんな傷も治す中級ポーション3本、10cm程度の傷なら治す初級ポーション10本、火と水の魔道具にペンや日誌などの豪華な雑貨と高値で売れるものばかりであった。
「よし!」
(水の魔道具!!これがあれば水問題は解決だ)
火と水の魔道具は、共に昔使ってるところを観たことがあるものなので、見た目で分かった。効果も分かっている。
今日の仕事の成果は、手紙の契約の件を差し引いても幸運であった。
(生活に余裕ができる。あいつらも喜ぶだろう。早く報告するためにも今日はどこにもよらずに帰るか)
荷物を片付けて寝床に向かう。笑顔がにじみ出て、小走りになる。今日死にかけたこともどうでもよくなった。寝床につき次第、勢いよくドアを開ける。
しかし、そこには誰もいなかった。
(さすがに早く帰りすぎたか…まだ日も暮れてもいない。少し休んだら、みんなが帰ってくるまで魔道具の確認でもするか…)
キャンプに入ったとき気づいたが、左下の小さい地図には人の様子も表示してくれるらしい。探知魔法も放たずにどうやって観てるか原理が気になる。
休憩後、水の魔道具を桶の上に置き、起動してみることにする。
(この水の魔道具はただ水を出す効果しかない、攻撃性を犠牲に量を増やしてるらしい。普通の水魔法で出した水は、一定時間たつと魔素となって消える。しかし、魔道具で出した水はなくならない。不思議だ……本当になくならないか起動して確認してみよう)
満を持して、水の魔道具に魔力を流すが起動しない。
(魔力が足りなかったか?)
リングの魔道具を起動して魔力を確認する。
MP 40/110
(今のMPは40か……起動するのに結構必要なんだな…魔力が回復するまで待つか)
魔力は起きていても回復するが、寝ていたほうが回復が早い。仮眠して回復を待つために寝床で横になる。時間が分かればステータスを用いて、魔力回復量の実験もできるが、時計のような大層なものは持っていない。
(いや…マジックポーチ内の雑貨に丸いのがあったな。懐中時計かもしれない)
確認すると案の定、蓋つきの懐中時計であった。蓋を開け、時間を確認していると蓋の内側にメッセージが刻まれていることに気づく。指でなぞりながら読み上げる。
「親愛なる兄上へ幸福を、マリア」
(マリア…持ち主の兵士が最後に祈っていた名前だ。メッセージから読み取るに、マリアとは妹のことなのだろう。届けなければならない手紙の内、1通の宛名はマリアだった……兵士のおかげで、これから生活に余裕もできる。なるべく早く届けるか)
そんな、これからの予定を考えながら、眠りにつく。
(俺は生きてる…生き残ったんだ……)
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