ソロモン王と72の悪魔
@masamasa0930
第1話 ソロモン王の悪魔
かつてソロモン王は神から授かった指輪を使い、72の悪魔を呼び出し、知識と力を手に入れた。
その悪魔たちは王の命令で神殿を築き、財宝を見つけ、未来を語ったという。
だが王は、その力がいずれ人を堕落させることを悟り、全ての悪魔を一冊の書に封じた。
時は流れ、現代。
イスラエルの乾いた砂の下から、古びた箱が発掘された。
考古学者のリナ・ ベン=エリは、真夜中のランプの下でその蓋をそっと開けた。
そこには、一冊の書物があった。黒い革に金で刻まれた紋章、表紙にヘブライ語でこう記されていた。
『レメゲトンーソロモンの小鍵』
ページを開いた瞬間、空気が震えた。
蝋燭の炎が青く揺らぎ、部屋の隅に黒い影が立ち上がった。
「名を名乗れ、人の子よ」
影は声ではなく、脳に直接響くように語った。
リナは喉を詰まらせたが、震える声で答えた。
「リナ・ベン=エリ。... あなたは?」
影が笑う。
「我が名はバエル。 七十二の悪魔の王。お前が我らを解放しに来たのか?」
リナは息を呑んだ。
伝説が真実なら、残り71体も目覚めようとしている。
だがリナは恐怖よりも、知的好奇心に突き動かされていた。
「あなたたちは何を望むの?」
「再びこの世界を歩くことだ。
我らは長きに渡り閉じ込められていた。だが契約の言葉があれば、それを知る者の命に従う。お前がそれを知るのであれば、契約せよ。そして我らの主として、再び我らをこの世界に解き放て」
その言葉に、リナの心に野心の影が差した。
歴史に名を残す発見。
そして、かつてソロモン王が手にした全ての力が手に入る…
だが彼女はまだ知らなかった。 ソロモン王がなぜ、彼らを封印したのかを。
彼女は契約の言葉を探し始めた。だがその夜から、彼女の研究所には奇怪な現象が続発した。
ガラスが砕け、書物が勝手にめくられ、壁に古代文字が浮かび上がった。
ある晩、リナは夢の中で一人の男と出会った。
黄金の冠をかぶり、瞳に星を宿す男。
「お前は道を誤っている、リナ」
「あなたは...?」
「我はソロモン。お前は我が過ちを繰り返している。」
リナは叫んだ。
「私は悪魔に命令するわ。悪魔が私に従うの!」
ソロモンは静かに言った。
「ならば問おう。お前が望んでいるのは、真理か、力か?」
心理…そんなもの凡人の自分が悪魔の力を借りれば手に入ると言うのか。
いや、ソロモン王は初めから心理を知り、この世のすべてを知っていた。
「わからぬか…では手を出せ」
おずおずとソロモン王に両手を差し出すリナ。ソロモン 王の手から金色の雫がリナの手に向かって 落ちた。
「それがお前を守ってくれる」
ソロモン王のその言葉と共に、リナの意識は落ちていった。
目覚めた時、リナの右手には再び 『レメゲトン』が握られていた。ページは最後の章を開いていた。
「封印の言葉」
そして左手には、印章が刻み込まれた 指輪が握られていた握られていた。
その印象には 見覚えがある。
あの偉大なるソロモン王のしるし。
彼女は決断した。72の悪魔を再び封じることを。
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