第2話 狼の走力補充
右手の丘を上がっていく。膝くらいの丈の雑草が風に揺れている。
丘の奥には、数匹の狼がすでにこちらを警戒の目で見ていた。
僕を獲物だと認識したのか、朝飯にちょうどいいと、舌なめずりしながら三匹の中型狼が散開して僕を取り囲む。
僕の後ろで、リリーさんが鞭を腰止めから外す音が微かに聞こえた。
見たところオスが二頭にメスが一頭だ。
そう言えば最初の頃、狼に魅了の術を掛けようとして、その狼がメスだったことが何度かあった。
まだ雄雌の見分けが満足にできなかったころ。
狼は人間と違って欲情する時期が決まっている。盛りがつくというやつだ。
だから、それ以外の時は性欲メーターが振れないわけで、雄雌は単純に外見だけで見分けなければならない。
男の娘サキュバスの魅了の術は、オスにしか効かないのだ。
雌雄の見分けがしっかりつくようになるまで、何度かお尻を噛まれたことがあったっけ。
痛かったけど、その怪我は翌日には傷跡もなく治っていたのだった。
もともと、僕のおしっこは回復薬になるほどだし、僕の精液は若返りの薬にもなるし、自分の肉体的な回復力が強力なのも当然かもしれない。
好奇に満ちた目で僕を見ているケンタに対して、やはり羞恥の感情を持ってしまう。
せっかく僕のことを慕ってくれている、みたいなのに、軽蔑されたくないんだよな。
でも仕方ないか。リリーが言うように、山賊との戦闘では魅了の術を使うことになるんだから。
「じゃあ、残りの二匹お願いしますね」
僕はリリーに言って一歩踏み出した。
じわじわと狼たちが近寄ってくる。
オス二頭が今にも飛び掛からんばかりに近づいてきた。
メスは少し離れた位置で様子を見ている。
狼との距離が5メートルくらいになったとき、僕は狼にお尻を向けてローブを捲り上げた。
僕のお尻を見て、瞬時にオスの狼二頭が戦意を喪失した。
リリーの鞭が長い蛇のように閃いて、メスとオス一頭を電撃で気絶させた。
残りのオス一頭が僕のお尻に口を近づけて長い舌で舐め始める。
ええ? なんなんですか?
ケンタのつぶやく声が耳に痛かった。
僕の魅了の術にかかると、その男なりオスなりは、まず最初に僕のお尻の穴を舐め始めるのだ。
最近わかってきたことなのだけど、この行為はその男なりオスの精力を強める働きがあるようだった。
普段、連続五回も射精することはありえないような男が、その所為で頑張れる、みたいな効果があるのだ。
アナル舐めが終わった狼は頭を上げて、僕の腰に乗りかかった。
四つん這いの僕の腰は狼の腕に抱えられて、お尻を後ろに引っ張られる。
そのお尻の穴に、狼の肉棒の先端が触れた。
僕のアナルは喜びと共にその先端を咥え込む。
いつも思う事だけど、ずるッと入ってくるその瞬間は、思わず声が出るくらいにいい気持ち。
あ、あん、いい。とケンタに恥ずかしい声を聞かせてしまった。
「ええ? もしかして狼と交尾してるんですか?」
前に出ようとしたケンタがリリーに止められている。
「ひとつ言っておくけど、ジュンのお尻の穴を見るのはダメだぞ。淫乱ケツマン波の魔法にかかってしまうからな」
そのあとも小声でケンタに注意していたが、そこから後はどうでもいいくらいに僕の方も気持ちよくなって聞いていられなくなった。
十分ほどの間に僕のお尻に五回も射精して、狼はイビキをかき始めた。
僕の魅了の術にかかって僕とセックスすると、その後相手はきっかり一時間眠ってしまうのだ。
「狼の走力補充できました」
言わずもがなな事を、僕はリリーに報告した。
これも任務の一部なのだと、ケンタに思って欲しかったのだ。
ちらりとケンタを見ると、彼は恥ずかしそうにうつむいてしまった。
トドロキ橋まで、ホワイトホースの町から歩いて三時間ほどだ。
往復で六時間か。結構きついな。
「リリーさん、そろそろ馬を支給されてもいいんじゃないですか?」
馬なら時間的に半分以下だし、疲れないからその分の体力を戦闘に使える。
「ああ、今度の任務が終わったら、その許可を出すって言われたぞ。それと、山賊が馬を持っていたらそれを自由に使えって言われた」
リリーさんが腰のポシェットから水筒を取り出して一口飲んだ。
そのあと、ケンタに渡した。
え、いいんですか、と呟きながらケンタも一口飲んだ。
ケンタはリリーさんを女性として意識してるのかな。
確かに客観的に見てリリーは魅力的な女性に成長してきている。
たった三年の間に、こまっしゃくれた少女から、ずいぶん色っぽくなったのだ。
でも、男の娘サキュバスの僕には、そんな彼女を性欲の対象として見ることができない。
転生してこの世界に来たばかりの頃は、まだ以前の気持ちが残っていたからだろう、リリーのお尻を見てドキマギすることもあったのだけど、最近はリリーのお風呂場シーンを見ても、きれいな裸だなと思う程度なのだ。
ケンタから見たら、リリーはすごく魅力的な女性に見えているだろう。
この冒険の中でケンタがリリーに恋するなんてこともあるかもしれない。
さて、あの丘を越えたらトドロキ橋まですぐだ。
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