瞬間移動がやりたくて~TRPG編~
ストレットフィールド
第1話 キャラクタークリエイト
僕の趣味はTRPG・・・のリプレイ動画をみたり、ミニチュアを作る事だった。
本当は自分で役を演じてみたり、キャラクターシートを作ってみたりしたかったが周りにやる人もおらず、正直それっぽいゲームをシングルプレイでやっていた。
それにほぼ一人遊びのようにペイントしたミニチュアに、自家製の100均の素材で作ったジオラマの上にコマを並べるぐらい。それでも満足はしていたし楽しかった。
そして今日も土日休みの貴重な休日を使って、ゲームをやって時間を潰す。だがそれが至高の時間であり、有意義な時間だ。
「今日は何のキャラをつくろっかな~」
もう何度目かのキャラクター作成。本来のTRPGだとダイスを振ったりだとかやるようだが、ゲームだとそういう事をすっ飛ばして、種族や各職業によって大まかな能力値は決まっている。
だから手慣れた手つきで、種族を選びキャラクリをしてクラスを選ぶ。
「う~ん、折角だし最近塗ったこれをモチーフに作るかな」
手に取ったのは、ローブ姿の魔法使いの男。
ずっぽりフードを被り、手にはナイフを持ち、大き目のバックパックを背負い、ポーチを3個ほどベルトにつけたやや小柄そうな青年のミニチュアだ。
「となると・・・種族はヒューマンか、ハーフエルフか。う~ん・・・服装からしてクラスはソーサラーかウィザードになるから、ハーフエルフのがいいけど・・・これはヒューマンよりだよねきっと・・・」
塗ったミニチュアを見るが、正直フードを被っている為に判断材料である耳が隠れている為に、ヒューマン、ハーフエルフのどちらでも良さそうではある。
「ま・・・まぁまぁこの子はハーフエルフだ。うん、見える見える。後でちょっと肌をもう少しし塗りなおしたら行ける行ける」
ちょっと強引ではあるが、種族を決めるとキャラクリだが・・・ここは基本適当だった。
元となるプリセットを少しいじって、見た目をよくするだけ。今、手に持っているミニチュアも顔は雑にベースを塗って、シェイドをしているぐらいの為に見た目はそこまでこだわらない。
「髪だけ黒にしたから、そこだけ合わせて普通に美男子っぽくしとけばいいかな。そして次がクラスだね」
クラスはゲームをプレイするに当たり、大きく変わってくる要素だ。
ファイター、バーバリアンなどの近接系クラスから、レンジャーやローグといった弓などの遠距離武器を使うクラス。更に、クレリックやバードと言った支援をメインにしする者にソーサラー、ウィザード、ドルイド、ウォーロックと魔法を使うクラスと様々なクラスがある。
更に、その中からサブクラスまで存在する為にクラス選びが一番大変まである。
だが、今回はミニチュアからキャラクリしている為に、ほぼ決まってはいる。
ソーサラーかウィザードの2択。
両方とも魔法を使えるクラスであるが、大きな違いは魔法を覚える事が先天的か後天的かという違いだろう。
ソーサラーはレベルが上がれば魔法を覚え、ウィザードは呪文書を手にしたら新たな魔法を覚えられるという事だ。
正直これは好みの問題だ。ソーサラーは火力が高く、ウィザードは呪文書さえあれば低レベルでも様々な魔法を覚える事が出来たりと一長一短。
両者とも魔法スロットというものがあり、一日に使用できる魔法の回数は決められている為に継戦力は低いという欠点がどちらともある。
「う~ん・・・魔法書を持っている様子はないよな~?」
ウィザードは冒険やお店で手に入れる呪文書を、魔法書に書き写す事で新たな魔法を覚える事が出来るという設定となっている為に、ミニチュアをグルグルと見ては本らしき物がない事を確認。
「じゃあソーサラーって事でいいか」
実際魔法の準備とかが楽なのはソーサラーなので、自分の好みはソーサラーだった為、また無理矢理感はあるがクラスはソーサラーに決まる。
次に魔法を選びとなるが初級呪文が一つに、レベル1呪文が一つだ。
これはほぼ決まっているようなもんなのだが・・・いつもと同じだと変わり映えはしない為、ここは変わったビルドを考えてみるか。
いつもなら魔法の矢や炎の矢といった、当たり障りのない強くて使いやすい魔法を選ぶのだが・・・それは既に何回も作ってきていた。
どうせやるならと、ちょっと趣向を変えてみる事にして再度ミニチュアを持ち観察する。
「君は何が得意なんだろうか?何ビルドになる予定かな?」
すると右手に持つ、ナイフのようなショートソードに目が行く。
ふんふん・・・武器は杖ではなく、剣を持っているのか。
という事はソーサラーなのに近接で戦うつもり?ソーサラーは基本、魔法で戦うクラスだ。攻撃もしくは支援をして戦闘を有利にしたり、探索でも様々な魔法を使い調べものをしたりと基本は魔法。
その為、武器はスタッフなどを持つのが一般的ではある。
いやいや、これは採取用なんだろ・・・きっと。そう思おうとするが、戦いそうに構えているではないか。
じゃあ・・・何か魔法効果が着いていたりするんだろう。またしても理由付けで、そう思い込もうとするが、ナイフを塗った時には質素にしてしまい、味が出るかもといった感じで刃こぼれや使用感を出してしまっている。とてもいい物とは思えないのだ。
えー・・・ここまで来て、近接ソーサラービルドとかありなのだろうか・・・
既にキャラクリから1時間は経過している。今更、このミニチュアをモチーフにしたキャラ作りを無しにするというのも、勿体ない。
「まっまぁ作った事ないし、ありっちゃあありかな?」
これも冒険と思い、育成方針が決まり取得する魔法も決まり出す。
「近接なら・・・初級魔法は防護かな」
防御力をあげ、殴打、斬撃などの近接攻撃に対抗できる物を選ぶ。
そしてレベル1の呪文だ。これは結局悩む。
正直、初級魔法はおまけ程度な物。初級魔法は魔法スロットという仕様回数が無限な為に、効果や威力が低くレベル1やレベル2などの魔法スロットがきれた時に使う魔法だ。
だがレベル1の魔法は当分の間、戦闘の主軸となるような物だ。近接ソーサラーといったネタビルドになりそうではあるが、考える必要があるだろう。
これも無難にアガシスの鎧やバリアといった防御をあげるか、跳躍強化や迅速退避といった能力値をあげ、ヒットアンドアウェイ戦法にするか、近距離魔法のファイアハンズと言った物を選ぶか悩みどころ。
「う~ん・・・魔法の矢にカーソルが伸びそうになる~」
未だに無難な魔法に後ろ髪を引かれる。そして再度、ミニチュアへと目を向けた。
「ん?これ・・・そう言えば何のエフェクトだろう?」
ミニチュアの体の背中や膝の後ろに、光のような残像のような線が伸びている。塗った時は特段気にせずに躍動感を出している物だと思っていた為に気にしていなかったが、こうマジマジと見ると少し違和感。
いや、違和感に見えるのはその線を、カッコよさを求めて少し青っぽく塗ったから余計に今見ると、躍動感とは違う物に見えてきていた。
「これは・・・走るよりもずっと速い動きを出してる感じ、高速移動・・・いや瞬間移動後っぽい感じか。だから、武器はナイフという訳ね」
何となく、このミニチュアの事が分かり始めてきた。
「となると・・・瞬間移動の魔法はレベル4の虚空渡りか、レベル5のディメンションポータルか」
低レベル帯では覚える事の出来ない魔法の為、いずれその魔法をとればいいかと今後の目安となると決めた。
「とりあえず・・・近接だとしてもソーサラーなのだから攻撃魔法は使ってもいいはず。バーニングハンズはとっておこう」
そしてレベル1の魔法を選んだ事で、ほぼキャラクリは終わったようなもんだ。
「後はハーフエルフだから、血筋によって使えるレベル1の魔法をもう一度選んで・・・お?バグか?」
先ほどバーニングハンズを選んだ時には無かった、虚空渡りとディメンションポータルが選択肢に出てきていた。
「なぜ、この二つがレベル1の魔法の欄に・・・ゲームやりすぎて、ディスクが壊れたかな?」
こんな事は初めてだったし、先ほどまで考えていた事が反映されているようで少し気味が悪くなる。
「まぁ・・・バグならバグでいいか。って血筋で覚える事が出来るのは1つなのに、2個選択出来たよ」
こりゃ本格的に壊れたなと、新しいディスクの買いなおしを検討しながら、高レベルで覚える事が出来る魔法二つを選んで血筋の魔法を選択して終わった。
後は職業や才能といった物を選び、一息ついた。
カーテンの隙間から見える、外の景色は既に赤みを帯び始めている。
「ふー・・・結局、プレイする前のキャラクリが一番楽しいまであるな」
ぐぅ~っとお腹が鳴る音を聞くと、昼ご飯も食べ忘れてキャラクリをしていたようだ。まぁ・・・ミニチュアにも手を付けくわえていた為に、今回は余計に時間が掛っていた。
「後は名前か、これは決まっているから・・・ノエルっと」
名前はいつも同じ物を流用だ。度々考えるのもあれだし、男にも女にも使えるこの名前はお気に入りだ。
そしてご飯の準備に、カップメンを用意しながら瞬間湯沸かし器のスイッチを入れた。
「湯が沸くまで暇だし、スタートしておくか」
ロードの事を考え、画面の前にまた座り左手にミニチュアを持ち、右手でコントローラーの決定ボタンを押す。
そして次の瞬間、フワっと意識が飛ぶと同時に頭の中は真っ白になったのだった。
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