第9話 添い寝距離ゼロ、鼓動と吐息が重なる夜

電気を消した部屋の中。

暗闇に、俺とルイの寝息だけが響いていた——


……いや、寝息なんてない。


眠れるわけがない。


すぐ横には、ルイ。

俺の幼馴染で、オタク仲間で……さっきまで、俺の“もっこり”を触ろうとしてきた男の娘が、同じベッドで寝ている。


しかも。


「……はると、そっち向いてもいい?」


「えっ、え……?」


「だって……背中向けられると、さみしいし」


(かわいいかよ)


寝巻き姿のルイが、ふわっと俺の胸元にすり寄ってくる。

腕と腕が触れ合って、太ももがピタリと重なる。


「……ドキドキしてる?」


「……あたりまえだろ」


「ふふ、私も」


暗闇の中、ルイの吐息が俺の首筋に触れた。


ぴり、と。


背筋を這うような快感。

心臓が爆音で鳴ってる。


「ねえ……はると」


ルイの手が、俺のTシャツの裾をそっと持ち上げる。

指先が、腹に触れた瞬間——


「ひゃっ……」


「……かわいい声」


「う、うるさい……!」


「ねぇ……私のこと、ちゃんと“女の子”として見てる?」


「そ、それは……その……」


「だったら……触れてもいいよ?」


「は……?」


「私の身体、見てみたいんでしょ? どんなのか……知りたいんでしょ?」


そのとき、ルイは自分の手を俺の手の上に重ねてきた。

そして、ゆっくりと、自分のショーツの上へと導いていく——


「触れて……いいよ」


(まじで、いいのか……?)


ショーツの上から指が届いたとき、そこには——


「……っ!」


やわらかさと、男らしさの両方が、確かにあった。


「……ルイ……」


「ね、驚いた? 気持ち悪いって思った?」


「……そんなわけ、ない」


俺は正直な気持ちを、絞り出すように言った。


「これがルイの“全部”なら……俺は、その全部が、好きなんだよ」


ルイの肩が、ふるふると震えた。

そして、次の瞬間——


ぎゅっ、と俺に抱きついてきた。


「……ばか。……そんなの、ずるいよ」


ルイの声は、少し涙混じりだった。


「私……ほんとは、ずっと、怖かったんだ。はるとに、嫌われたらどうしようって……」


「嫌うわけないだろ」


俺も、ルイの身体を強く抱き返す。


「俺の前では、男の娘でもオタクでも、ぜんぶさらけ出していい。……俺は、ルイが好きだから」


その言葉に、ルイが唇を近づけて——


「……キス、してもいい?」


「うん」


ルイの唇が、俺の唇にそっと重なった。


あたたかくて、柔らかくて、

まるで夢の中にいるみたいで——


そしてその夜、俺たちは初めて、

“触れあう”ということの、本当の意味を知ったのだった。

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