◆ リュセノール深森王国・霊脈戦争

◆ リュセノール深森王国(Lycenor Deepwood Kingdom)


■ 基本情報

項目 内容

呼称 リュセノール深森王国

位置 インフェリアル大陸中央・北部。深遠なる原生林霊深の森(レイシンのもり)を中心に広がる自然国家。

統治形態 霊脈直系による精霊王制(血統制と精霊適性の両立が条件)

首都 セルフィア・ラダ(「霊の湖畔都市」)

国是 「精霊との共存」「森と共に在ること」

国章 樹木を抱く月光の紋章


■ 歴史・由来

・かつてハイエルフたちが統治していた古代精霊王国の末裔。

・「大霊融合の儀」によりハイエルフが堕落(灰エルフ化)し、王統から追放された事件を契機に王国が再編。

・その後、精霊との距離を保つ“節制の精霊術”を基本とする新たな王家が誕生。以降は中庸的な精霊信仰を国是とする。


■ 国民・文化

内容

種族構成 主に正統エルフ(森林エルフ・高位精霊術師含む)。一部、許可を得た精霊・森渡り人・薬草師などが共存。

生活文化 言語よりも歌と風、気配を重視する文化。建物は自然と融合する有機建築が多く、過度な伐採は禁止。

教育:幼少から“精霊倫理”と“歌による魔導”を教わる。禁忌に厳格。外界への接触は限定的。

外交姿勢: 極めて消極的。特に“灰エルフ”との接触は禁忌とされている。人族とも距離を置く中立的立場。


■ 軍事と防衛

内容

軍制:常備軍は持たず、有事には「森の番(もりのつがい)」と呼ばれる精鋭斥候部隊と、精霊召喚師による儀式兵が動員される。

魔法体系 詠唱魔法と“歌唱型精霊魔術”が主軸。直接攻撃よりも結界・結界樹・幻術が中心。

主要戦技 森の迷宮化、精霊使役、幻視の歌、精霊樹動術など。


■ 禁忌と儀礼

禁忌: 霊脈の乱掘/他種族との無許可の混血/“灰エルフ”の存在承認

儀礼: 【緑暦の聖歌祭】春に歌で森を起こす祭典/【霧光の通夜】死者と精霊をともに送る夜間の儀式/【聖木戴冠】霊脈直系の継承者を祝福する戴冠儀式


■ 対「灰エルフ」認識

・“反逆の血”とされ、名を口にすることすら不敬とされている。

・「灰エルフを見たら報告せよ」が村落規律の基本に組み込まれている。

・一方で、古い文献を密かに読み継ぐ者たちも存在し、内部で意見の対立がくすぶっている。




◆ 霊脈の断絶戦(れいみゃくのだんぜつせん)通称:霊脈戦争(れいみゃくせんそう)


■ 概要

内容

発生時期 女神暦1780年頃(現在より約3220年前)

勃発地域 リュセノール深森王国・中央霊脈帯(現在の禁忌地)

主要勢力 ハイエルフ派(精霊融合派) vs 正統エルフ王家(精霊節制派)

戦争形態 精霊魔術・結界術・儀式魔法による霊脈争奪戦

結果 ハイエルフ敗北・追放、王国再編、霊脈の一部崩壊

別名 《ルリオスの夜》/《大霊融合の悲劇》/《禁忌の開門》

■ 発端

かつて、リュセノール王国では精霊との同調を「術」として制御するか、「存在」として一体化するかで思想の対立があった。


ハイエルフたちは後者――“完全同化”による精霊との融合を目指し、ついに禁忌とされていた儀式大霊融合の儀(エン・セリア)を実行。


結果、中央霊脈が暴走し、複数の聖域が枯渇、霊獣や精霊が狂乱状態に陥った。


■ 主な戦争経過

● 第一段階:儀式の発覚と王家の反発

・ハイエルフによる《融合の塔》建造が密かに進められる

・儀式実行直後、霊脈異常が顕在化し、精霊が暴走

・王家、ハイエルフに対し“霊脈冒涜罪”として粛清命令を下す


● 第二段階:精霊暴走と禁域化

・精霊による反乱(暴霊現象)、森の一部が“黒の迷域”と化す

・王家軍が“封歌術”を発動し、霊脈の波動を封じ込める

・多数のハイエルフ戦士が精霊核保持者として“生贄化”**され消滅


● 第三段階:総力戦と終結

・“霊脈断絶戦”と呼ばれる大結界魔法の応酬

・王家が“霊脈守護契約”の継承者を前線に投入し、ついに融合派壊滅

・王国は霊脈崩壊を防ぐ代償として中央禁域を永久封鎖


■ 結末と影響


内容

ハイエルフの運命 一族まるごと追放。以降「灰エルフ」として記録抹消・禁忌対象に

戦死者数 ハイエルフ側:9割超消滅(男性全滅)/王家側:主要精霊使の多数が命を落とす

精霊界の影響 一部の精霊が“永久昏睡”状態。特定属性(風・木)の精霊力が減退

現在の禁忌地 通称「女神禁忌地」。霊脈の暴走により地形が変容。未浄化の精霊漂う危険地帯


■ 現代への影響

ハイエルフは幻の種族・呪われし血統として認識される


リュセノール王国では「霊脈の扱いに節度を」という思想が支配的に


一部の禁書に《エン・セリア》の記録が残されており、密かに研究する者も存在


現在も「禁忌の歌」や「融合の器」などの遺物が時折発見され、秘密裏に回収されている


■ 補足

大霊融合の儀(エン・セリア) ハイエルフが実行した禁忌の儀式。精霊との完全融合を試みる

精霊核保持者:精霊と接続する役目を負った者。維持に膨大な魔力が必要で、命を削る

霊脈:大地を流れる魔力の“根系”。これを制することで精霊との契約が可能になる

封歌術:声と歌により、精霊との契約を封印する古代術。ハイエルフ戦士が多用



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る