刀が無くとき、探偵は声を聞く
ことの葉しずく
プロローグ:聲のかたち
刀が、泣いていた。
音にならない“
都内、深夜。封鎖された住宅街の路上で、片桐透馬はひとり、しゃがみ込む。
空気の裏側で、わずかに震える何かが、そこにあった。
都内某所。夜の住宅街を封鎖する黄色い規制線。
警察が去った後の静かな現場に、探偵・
冷たいアスファルトの上に転がる一本の刀。
血もつかず、名も刻まれず。ただ、鋼としての輪郭だけが残っている。
透馬は息を止めるようにして耳を澄ませる。
風もない。虫の音も遠い。ただ、その刃から──問いかけのような聲が聞こえた。
「……また問いか」
彼は小さく呟いた。
「
事件現場には、いつも奇妙な痕跡が残る。
音が歪み、空気が乾き、人が“聲”を遺して消えてゆく。
祈り。崇拝。模倣。そして、狂信。
名を持たなかった命たちが、今この都市で、“問いを刃にして”さまよいはじめていた。
これは、名を求めて叫ぶ者と、名を返す者の物語。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます