第6話 赤井潮のとても長い一日・2

「えっ、レッド、ちょっと待って……」


 ピンクたちには悪いが、オレはハッチから外に飛び出した。


 そのままビルの影に隠れると、人目がない事を確認し、ギガントマンへと変身する。


 筋肉質で銀色の肉体に、輝く瞳、三日月のような大きな角と、人とは異なる容姿は宇宙人である事を如実に示し、服ではないが幾何学的な赤いラインが体を走る。


 なお、巨大化するとバレるので人間サイズだ。


 その状態で、更にテレポーテーションを使う。


 本来であれば、体力を大幅に使うこの技を怪獣との戦いの前に使いたくはない。


 だが、そうも言ってられない。


 一刻も早く向かわないと、怪獣に襲われた街が壊滅する。


 ゴリュウロボで戦えればいいんだが、怪獣は地球環境の破壊から生まれてきたものと解釈されているため、日本政府が設立したゴリュウジャーではなく、国連の管理下にある地球防衛軍が対処することになっている。


 無駄極まる縦割り行政だが、仕方ない。


 信じてもらうには、オレがギガントマンだと言うしかないが、言ったら死ぬ。


 死んだら守れない。地球の武器で倒せるような相手ではないのだ。


 宇宙怪獣の細胞が環境汚染に反応して出現するため、都会の街中に出現するそれに対し、核兵器を使うわけにもいかない。


 テレポーテーションは難なく成功し、遠く離れた沿岸の大都市に一瞬で移動は完了する。


だが、風水獣との激闘を経た後、テレポーテーションによる体力の消耗は並大抵のものじゃない。


 巨大化はしたものの、脱水症状を起こしたマラソン選手のようにフラフラになりながら、オレは怪獣と戦った。


 疑似的に肉体を維持しているため、長時間の変身は不可能であり、ギガントマンでいられるのは約3分間である。


 だが、はじめの1分でエネルギー切れを知らせる胸のバッテリーサインが鳴り響きはじめた。オレの消耗が、そのまま変身後のギガントマンに影響している。


 相手はクラゲとタコを足してヘドロをかぶせたような――マスコミはヘドロミドロと名付けた――怪獣であり、打撃攻撃も中々通じない。


 防衛軍のミサイルもさして援護にならず、むしろ街にヘドロを飛び散らせる結果となった。周囲には酷い悪臭が漂っている。


 更に、いかなる原理か飛び散ったヘドロは発火し街を炎に包んでいく。


 戦いを長引かせるわけにはいかなかった。


「デュエア!」


 両腕を正面につきだし、手首から先を交差。


 左右の腕に巡らせたプラスエネルギーとマイナスエネルギーをスパーク。


 そして古典的な手裏剣投げの要領で放つ。


 ギガントマンの必殺技、アンチナトリウム光線!


 体力を極端に消耗する大技だが、ヘドロミドロの動きの鈍さから何とか当てる事ができた。


 虹色の光線を浴び、爆散するヘドロミドロ。


 空に飛び立つフリをして、人間体に戻ると、オレはそのまま意識を失った。

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