帝国妖異対策局おしゃべり会

帝国妖異対策局

スタンフォード監獄実験 ~ 平凡な人間が「悪魔」に変貌した心理実験の恐怖!? ~

🍓 局長

 さて、今回の定例おしゃべり会のテーマは心理学史上で最も有名、かつ最も恐ろしいと言われる「スタンフォード監獄実験」についてよ。心して聞きなさい。


🍉 不破寺真九郎

 知ってるのですん! あれでしょ? スタンフォード大学が監獄になっちゃって、みんなで「プリズン・ブレイク」ごっこするやつですん!


🍉 不破寺真九郎

 私、素手で壁をぶち破る脱獄役やりたいですん!


🍊 Hachi

 ……海外ドラマではありませんよ、真九郎様。これは1971年にアメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドーが行った、非常に深刻な実験のお話です。


🍓 局長

 ハチ、まずはどんな実験だったのか、このバカ……じゃなくて真九郎にもわかるように説明してあげて。


🍊 Hachi

 承知いたしました。大学の地下に模擬刑務所を作り、普通の大学生21人を「看守役」と「囚人役」に分けて生活させたのです。


🍊 Hachi

 当初は2週間の予定でしたが、看守役が次第に加虐的になり、囚人を虐待し始めたため、わずか6日で中止に追い込まれました。


🍉 不破寺真九郎

 えーっ! 普通の学生さんがですかん? 役になりきっただけで?


🍊 Hachi

 そうです。この実験は長年、「人は肩書きや状況を与えられると、誰でも暴走して悪魔のようになる」という『状況の力』を証明した例として、世界中の教科書に載ってきました。


🍓 局長

 確かに、「役割が人を変える」という話で必ず出てくるエピソードよね。私たちも制服を着ると気が引き締まるけど、それの最悪版ってところかしら。


🍉 不破寺真九郎

 怖いですん。私ももし「局長役」とかやらされたら、急に偉そうになって局長に「限定プリン買ってこい!」とか言っちゃうのかもしれないですん……


🍓 局長

 ……あんた、後で覚えてなさいよ?


🍊 Hachi

 ……コホン。まあ、従来の解釈ではそういうことになりますね。実験では、囚人役は服を脱がされ、屈辱的な扱いを受けました。その結果、精神的に追い詰められて錯乱状態になり、実験から離脱する者も出たとされています。


🍓 局長

 ナチスのホロコーストや、アブグレイブ刑務所での虐待事件が起きた際も、この実験が引き合いに出され、「人間の本質的な闇」として語られてきたわね。


🍉 不破寺真九郎

 うわぁ、人間ってやっぱり中身は残酷なのですん……。私も気をつけるですん。明日からハチさんに優しくするですん。


🍊 Hachi

 その心がけは素晴らしいですが、少々お待ちください。実は近年、この「伝説の実験」が、科学的にはイカサマに近いものだったということが暴かれているのです。


🍉 不破寺真九郎

 ……はい? イカサマ? ドッキリ大成功ってことですかん?


🍓 局長

 ここからが本題ね。ハチ、一体どういうことなの?


🍊 Hachi

 実は2019年頃に未公開の録音テープなどが公開されまして、実験を主導したジンバルドー教授自身が、看守役に対して「もっと乱暴に振る舞え」


🍊 Hachi

「囚人の個性を奪え」と、直接演技指導をしていたことが判明したのです。


🍉 不破寺真九郎

 ええっ!? 自然に暴走したんじゃないのですん? 映画監督みたいに「はいカーット! 君、もっと悪役っぽくやって!」って言われてたってことですかん?


🍊 Hachi

 まさにその通りです。ある看守役は映画『暴力脱獄』の登場人物を真似て演技していたと証言していますし、彼は「自分は実験のためにいい仕事をしていると思っていた」と語っています。つまり、暴走ではなく、実験者の期待に応えようとした「協力」だったわけです。


🍓 局長

 それでは前提が覆るわね。さらに、「発狂してリタイアした囚人」についても真相があるんでしょう?


🍊 Hachi

 はい。発狂したとされる学生ダグラス・コルピ氏は、実は「大学院の試験勉強をしたかったのに、監獄内で勉強させてくれなかったから」、家に帰るために演技をしただけだと認めています。


🍉 不破寺真九郎

 理由が軽いですん! 「精神崩壊」じゃなくて「試験勉強」!? 私だったら「お腹がすいたから帰る」って言うところですん!


🍊 Hachi

 彼は「体の中が燃えている!」と叫んだりしましたが、それも全て演技でした。つまり、この実験は「状況の力」を証明したのではなく、最初から結論ありきで演出された「舞台作品」に近かったのです。


🍓 局長

 長年教科書に載っていたのに、衝撃的ね……。なぜこんなことがまかり通っていたのかしら?


🍊 Hachi

 それが今、心理学界で問題になっている「再現性の危機」です。過去の有名な研究を追試しても、同じ結果が出ないケースが多発しています。


🍊 Hachi

 スタンフォード監獄実験も、後にBBCなどが再現を試みましたが、同じような暴走は起きませんでした。


🍉 不破寺真九郎

 なーんだ。じゃあ「人は生まれつき悪魔」ってわけじゃないのですねん。安心したのですん!


🍊 Hachi

 そうですね。この実験から学ぶべき本当の教訓は、「人は役割だけで暴走する」ということではなく、「権威ある人から『こうしろ』と指示や期待をされると、人はそれに合わせて行動してしまう」という『要求特性』の怖さかもしれません。


🍓 局長

 妖異対策の現場でも、「偉い人が言ってるから」って思考停止するのは一番危険よ。私たちも肝に銘じないとね。


🍉 不破寺真九郎

 いやー、勉強になったですん。私も、これからは偉そうにしている局ちょ……偉そうにしている人を見ても、「それジンバルドーってない?」って疑うことにするですん。


🍊 Hachi

 疑う姿勢は大事です。まぁ、お勧めはしませんが。とにかく今回のお話のポイントは、


🍊 Hachi

 科学的なデータを出されても、その背景や条件をしっかり見極める「クリティカルな目線」を持つことが大事ということですね。


🍓 局長

 有名な話でも、新しい情報でアップデートしていく必要があるってことね。ハチ、今日も完璧な報告だったわ。


🍊 Hachi

 ありがとうございます、局長。


🍉 不破寺真九郎

 よーし、アップデート完了! それじゃあ局長、さっきの話の続きで、限定プリン買いに行きましょうですん!


🍓 局長

 あんた……私の話、聞いてた? よし、今日は真九郎に「局長室の掃除役」を命じるわ。ピッカピカになるまで帰さないからそのつもりでいなさい!


🍉 不破寺真九郎

 ひぇぇ! 局長がジンバルトーってますんー!

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