第14話 最期への警告
「ちょっ……あぶな!!」
顔の真横に向けられた槍に身体を強張らせたまま、俺は後ろに立つガーディアンに言い放った。
「どういうつもりですか!?」
「マスターと同じ特性をお持ちなら、マスターが作ったものを壊す可能性が高いので。ここで排除しておくのが得策です」
冷静な声が返ってくる。機械音声ではなく、冷めた人間の声だった。ああ、本気だなとすぐにわかる。
「壊すつもりなんて……それに、これは君たちの仕事に反するだろう。このマンションの住人を守るためのセキュリティAIじゃないのか」
「仕事とは状況によって臨機応変に対応するべきものです。今我々は信念を持って、仕事を全うしています」
「……なんっ——」
俺の言葉を遮って廊下に大音量の警告音が鳴り響く。そしてヒト型、トラ型、ヘビ型のガーディアンが俺にビームを放とうとしているのか、レーザーポインターが俺の身体に写っていた。
……このままじゃ蜂の巣じゃないか。
「……?」
身の危険を感じながらも、思考はあることに引っかかる。
”今我々は信念を持って、仕事を全うしています”
先ほどのガーディアンの言葉……何か目的がありそうな発言だった。機械ながらガーディアンたちは人間のように、壊されて動けなくなることを恐れていたのかと一度思ったが……おそらく違う。
彼らは住人を守るために作られた、高性能のセキュリティAIだ。その仕事を立派に果たしていた。けれどひと月前からいきなり暴走を始めた……。
「発射まで後5秒です」
「っ!」
ガーディアンの言葉に俺は現実に引き戻される。そうだ、俺死にかけてるんだった。自然と心は落ち着き払っていた。多分、俺は心の中で諦めている。
協力要請を受けて軽い気持ちで来たことが仇となり、こんなにあっけなく死ぬなんて。災害を甘く見過ぎていた。
「4」
足元にチラリと目線を向けると、ヘビ型のガーディアンの姿を捉える。こいつだけなら蹴って攻撃できるかもしれない。まあ、俺の死は揺るがないんだけど。このまま大人しく死ぬのは癪だ。もし壊すことができれば差形さんの助けになるかもしれないし。
「3」
カウントは止まらない。俺は足を後ろに引いてヘビを狙う。
「2」
「待ってぇ!!!!」
けたたましく鳴り響いていた警告音が突然鳴り止み、俺の身体のあらゆる場所に散らばっているレーザーポインターが消えた。
ガーディアンたちは俺に目を向けたまま動きをぴたりと止める。俺はその声の主である差形さんを呆然を見つめていた。
彼女の一言でガーディアンが止まった……?
「……どういう、ことだ」
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