無垢なアイドル五人組がテロリストの罠に囚われ、極限の羞恥と絆で試される過酷な夜～全国生中継の屈辱を乗り越え、未来を掴む物語～

第14話 操られたスポットライト

スターリットの楽屋は、テレビ局の喧騒とは裏腹に静かだった。

「彩花…今日の収録…大丈夫かな…？」

美咲が衣装のスカートを握りしめ、震える声で囁く。

モニターには「朝イチトーク！」のロゴが映り、観客の拍手が遠く響く。

「大丈夫だよ、美咲。いつも通り、笑顔で！」

彩花は美咲の肩に手を置き、微笑むが、彼女の目にも緊張がちらつく。

「でも…この番組、なんか…変な感じ…」

玲奈がメイク道具を手に、鏡を見つめる。

「玲奈、気にしないで。ファンが待ってるよ。」

結衣が玲奈の髪を整え、元気づける。

「…油断できない。プロデューサーの目、嫌いだ。」

真央が腕を組み、楽屋のドアを睨む。

復帰ライブの成功後、スターリットの仕事は急増した。

テレビ出演、CM、雑誌インタビュー。

だが、ワイドショーの報道が「お漏らしアイドル」のレッテルを貼り、5人の心に影を落とす。

「彩花…Xで…まだあの写真、回ってる…」

美咲がスマホを手に、目を潤ませる。

「『スターリット、頑張れ！』って投稿も多いよ。見てて。」

結衣が美咲のスマホを覗き、微笑む。

「うん…結衣…ありがとう…」

美咲は頷き、涙を拭う。

「…でも、マスコミはまだ狙ってる。」

真央が低く呟き、テレビを睨む。

スタジオの照明が点灯し、5人がステージに呼ばれた。

「スターリット、登場です！」

司会の声に、観客が拍手と歓声を上げる。

「彩花ちゃん！ 美咲ちゃん！ 大好き！」

ファンの声が、5人の胸を温める。

「よし、トークから！ いくよ！」

彩花がマイクを握り、笑顔で応える。

トークは順調に進み、ライブの裏話や新曲の話題で盛り上がる。

「美咲、最近ハマってることは？」

司会の質問に、美咲が少し緊張しながら答える。

「えっと…お菓子作り…かな…？」

「かわいい！ 彩花ちゃんには作ってあげた？」

司会が笑顔で振ると、観客が笑う。

だが、プロデューサーの佐藤が袖で不気味な笑みを浮かべていた。

彼はライブの報道を見て、5人のトラウマを「視聴率のネタ」に変える計画を立てていた。

「準備、いいな？」

佐藤がスタッフに囁き、音響ブースに合図を送る。

トークの終盤、突然――

バン！

セットの裏で金属が倒れるような衝撃音が響く。

「！？」

5人の笑顔が凍りつく。

（銃声…！？ あの夜…！）

彩花の脳裏に、テロ事件の光景が蘇る。

観客がざわめき、司会が慌ててフォローする。

「はは、セットのトラブルかな？ 大丈夫ですよ！」

だが、5人の目は恐怖で揺れる。

「彩花…！ 何…！？」

美咲が悲鳴を上げ、彩花の腕にしがみつく。

「美咲…落ち着いて…！」

結衣が美咲の手を握るが、彼女の声も震える。

「…やだ…また…！」

玲奈がマイクを握りしめ、ステージを睨む。

「…くそ…狙ってる…！」

真央が歯を食いしばり、袖の佐藤を睨む。

彩花の心臓が締め付けられていた。

（ダメ…！ カメラ…ファンの目…！）

スタジオの照明が目を焼き、観客の視線が刺さる。

あの夜のマスコミ、ライブの写真が頭をよぎる。

彼女の体が硬直し、冷や汗が全身を濡らす。

突然、下腹部に熱い波が押し寄せる。

（や…！ ダメ…！）

彩花は必死に力を入れるが、恐怖が理性を飲み込む。

じわりと温かい感覚が足元を伝い、ステージの床に水たまりが広がる。

水音が静かなスタジオに響き、照明が濡れた床を照らす。

「う…っ…！」

彩花は顔を赤らめ、肩を震わせる。

彼女の白いワンピースに、薄い染みが滲む。

（全国に…また…！）

羞恥が心を刺し、涙が溢れる。

「彩花…！」

玲奈が叫び、彩花の手を握ろうとする。

だが、玲奈の体も音に凍りつく。

（カメラ…！ あのライト…！）

テロのフラッシュバックが呼吸を荒くする。

抑えきれぬ熱が足元を濡らし、じゅわっと音を立てる。

玲奈のピンクのスカートに滴が落ち、床に水たまりが広がる。

「や…ごめん…！ 私…！」

玲奈は両手で顔を覆い、膝を震わせる。

彼女の衣装が濡れ、照明に光る。

（テレビで…こんな…！）

嗚咽がマイクに拾われ、スタジオに響く。

美咲は彩花の腕にしがみついたままだった。

「美咲…！ 大丈夫…！」

結衣が美咲の肩を掴むが、彼女の目も潤む。

「結衣…私…怖くて…！」

美咲の目は音の方向を追い、心臓が締め付けられる。

（テロリスト…！ また…！）

熱い波が抑えきれず、足元に水たまりが広がる。

じわりと音を立て、美咲の青いドレスに濡れ跡が滲む。

「う…また…！ ごめん…！」

美咲は泣き声を上げ、ステージにしゃがみ込む。

濡れた床が照明に反射し、カメラが捉える。

（みんな…見て…！ 死にたい…！）

彼女の涙が床に滴る。

結衣は冷静を保とうとしていた。

（ただの…音…！ 耐えなきゃ…！）

だが、衝撃音が銃声と重なり、心が乱れる。

（あの夜…！ ダメ…！）

彼女の体が震え、制御できない感覚が襲う。

じゅっと音を立て、結衣の緑のワンピースに染みが広がる。

水たまりがステージに流れ、照明が揺れる。

「く…っ…！」

結衣は唇を噛み、顔を背ける。

（テレビで…私が…！）

羞恥が胸を締め付け、視線を落とす。

真央は無表情を保とうとしていた。

（落ち着け…！ ただの…！）

だが、音が心を抉る。

（銃…！ あの男たち…！）

彼女の体が反応し、抑えきれぬ熱が溢れる。

じわりと音を立て、真央の黒い衣装に染みが滲む。

水たまりがステージに広がり、照明が反射する。

「…っ…！」

真央は拳を握り、視線を逸らす。

（こんな…情けない…！）

彼女の目が潤み、カメラを睨む。

観客がざわめき、スタッフが慌てる。

「え…！？ スターリット…！？」

「うそ…！ また…！？」

ファンの声が混乱に変わる。

カメラが5人を捉え、モニターに濡れた衣装が映し出される。

「彩花ちゃん…！ 大丈夫！？」

心配の声が響くが、驚きの声が混じる。

「美咲ちゃん…！ やばい…！」

一部の観客がスマホを掲げ、フラッシュが光る。

佐藤が袖で笑みを深める。

「これだ…視聴率、爆上がりだな…」

放送は全国に流れた。

夕方のワイドショーが、即座に取り上げる。

「スターリット、トーク番組で再び衝撃の瞬間！」

キャスターの声が響き、濡れた衣装の映像が繰り返される。

「テロ事件のトラウマが影響か？ 視聴者からは賛否両論…」

コメンテーターが続ける。

「彼女たちの頑張りは認めるけど、この状況は…ねえ。」

言葉は同情を装うが、映像が羞恥を煽る。

「お漏らしアイドル、なんて呼ばれてますが…どう思います？」

別の番組が、扇情的な見出しで取り上げる。

楽屋に戻った5人は、ソファに崩れ落ちた。

「彩花…また…全部…見られた…」

美咲が泣き声を漏らし、彩花にしがみつく。

「美咲…ごめん…私が…」

彩花が唇を噛み、涙をこぼす。

（プロデューサーの…あの目…！ わざと…！）

彼女の脳裏に、佐藤の笑みが蘇る。

「彩花…テレビ…まだ流れてる…」

玲奈がスマホを手に、震える声で言う。

「『お漏らしアイドル』…こんな…ひどい…」

結衣が画面を睨み、拳を握る。

「…私たち、ただのネタにされた。」

真央が低く呟き、壁を睨む。

彩花は深呼吸し、仲間を見渡した。

「みんな…ごめん。私が…もっと強く…」

彼女の声は震えるが、目を上げる。

「彩花のせいじゃない。あいつらが…！」

玲奈が彩花の手を握り、涙をこぼす。

「でも…ファンの声、聞いてよ。まだ…応援してくれてる。」

結衣がスマホを掲げ、微笑む。

「『スターリット、負けないで！』…ほんと…？」

美咲が画面を覗き、鼻をすする。

「…一部、変な投稿もある。でも、味方はいる。」

真央が静かに言い、スマホを置く。

Xには、ファンの声が溢れていた。

「彩花ちゃん、笑顔が素敵だった！ 気にしないで！」

「美咲ちゃん、玲奈ちゃん、結衣ちゃん、真央ちゃん、最高だよ！」

「マスコミ、ふざけんな！ スターリットをいじるな！」

だが、一部の投稿が刺さる。

「正直…またか、って思った。けど、応援してるよ。」

「お漏らしアイドル、トレンド入り！ なんか…すごいな。」

5人の胸に、複雑な感情が広がる。

「彩花…私…もう無理かも…」

玲奈が膝を抱え、涙をこぼす。

「玲奈、ダメだよ。私たち…まだ歌える。」

彩花が玲奈の手を握り、目を合わせる。

「う…彩花…でも…このレッテル…」

玲奈は嗚咽を漏らすが、彩花の手に力を込める。

「美咲、顔を上げて。ファンは待ってるよ。」

結衣が美咲の肩を撫で、微笑む。

「うん…結衣…ありがとう…」

美咲が頷き、涙を拭う。

「真央…次、どうする…？」

彩花が真央に目をやり、震える声で尋ねる。

「…戦うしかない。マスコミにも、レッテルにも。」

真央が静かに言い、拳を握る。

楽屋の時計は夜を指していた。

「お漏らしアイドル」のレッテルは重いが、絆は揺るがない。

スターリットの戦いは、新たな局面を迎える。