第29話
前に泉ちゃん、私のことを他の高齢者と違って素敵と言ってくれたじゃない?
あれ、とっても嬉しかったんだけど、同時に思ったの。
私がもしコウタ君と結婚していたら、きっと今頃、まるっとしたおばあちゃんだったかもなぁって。
文句ばっかりのご老人はさておき、優しくて穏やかな、ザ・おじいちゃんおばあちゃんたちはきっと、人生に悔いがないのだと思います。
私はただ、そうなれなかったのよ。
夫が亡くなった後の残りの人生を、汐見浩太君と出会った地元に戻って過ごそうとするくらいに。
もうわかったと思うけれど、この老人ホームで泉ちゃんの名札を見たとき、もしかしてコウタ君のお孫さんかしら、と私は考えたのです。
それでなんとなーく注目していたら、橘君との関係がわかってきちゃって、そしたらもう、やきもきしちゃってね。
なんとかならないかなーって、佐藤さんにお願いして、泉ちゃんを私の担当にしてもらいました。
でも結局何もできなくて、気が付いたら私の恋バナを話していました(笑)
余計な老婆心を許してね。
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