たったひとつの冴えた……
先日、とあるロックバンド? のライブに行ってきまして。
その感想というよりは周辺、つまり、あの時あの場所に一緒の目的で集っていた人々の話について、感想を備忘として書いておきます。
2025年4月の下旬ですね。場所は、関東圏。東京都内ではない郊外っぽい場所で、かなり広めのホール。収容人数は最大で1万を越えるみたいですから、それくらいいたんでしょうね。
私はぼっち参戦ですし、そのバンドのファンクラブに入っているわけでも古参でもないので、他の方に声をかけることもかけられることもなく、一人でぼおっと歩き回っては物販やフラワースタンドを見て回っていました。
しかし行く人、通り過ぎる人がみんな同じTシャツを着ているものだから「買えばよかったか我……?」とか思ってしまう。空気に吞まれるってこういうことか。
とはいえ、老いも若きも彼ら彼女らがカフェの外席で談笑しているのを見ると、こう、色んな人が一個の接点で繋がれるのってすごいなあと思いましたね。
で、 ライブ開始1時間半前から、入場開始です。
私は以前、別の大規模ライブ(しかもライブ初心者という黎明期)で「入場開始には間に合っていなきゃ!」とか勇んだ挙句、2.5時間くらい無駄な待機時間を強いられた経験があるので、今回は急がず周囲でゆったり買い物や散策をしながら時間つぶし。
入場口に向かう人々の波に逆らって動いていると、ヘルプマークを付けた方がちらほら。電車でもけっこう見かけますよね、赤い十字のマーク。一時期あれをファッションで付けている人がいるってニュースもあったけれど、今じゃ減ったのでしょうか。
ああ、あそこでフラスタを見ているのは車椅子の人だね。
車椅子といえば、とある映画の試写会ですごい変な位置を指示されている人がいたなあとか、別のライブ兼トークショーではもう寝たきりの人とかいたなあ、楽しめているのかな、楽しめていてほしいなあ、と思ったことが記憶から浮かび上がります。
色とりどりの髪の男女がいました。アニメに出てくるようなどぎつい(失礼)青の方や、メッシュのように赤を織り交ぜている人など。
私は黒髪が至高、などという嗜好ではありませんが、田舎出身としては都会で見かける若人たちのヘアーコーディネイトは刺激が強すぎるなあ、と感じた次第です。まあこだわって手間をかけていると思うので、皆さん存分に自身を表現していただければと思います。
そんな感じで、ライブに来ていた人をちらちらと見ていると中々様々な人がいて面白いなあ、と思うのです。
普段生活している分には無感動、むしろ不快や苛立ちが表出してくるのが多いのに、こういった非日常の空間では他人に優しくなるのが実に興味深い。同じアーティストを好きだという、明確な共通点があるからでしょうか(もちろん、好きで来ているわけじゃない人も多数いらっしゃると思いますが)。
ぼっちの男性。
男友達、女友達。
若いカップル。
近くのホテルから出てきた老夫婦。
半分ハゲかかったおっさん。
母子と思しき二人。
アーティストの過去のグッズを付けている人。
無関係なバンドやアニメのアクセサリーをぶら下げている人。
帽子をかぶっている人。
でかいリュックを担いでいる人。
黒一色の服装。
逆に、真っ白なTシャツを着ている人。
スマホで会場やフラスタの写真を撮っている人。
自撮りを決める人。
中国とか韓国からやってきたらしき人。
それよりは肌の色が濃い人。
ながらスマホの女性。
「ここでいいのかな」と場所を確認しながら近づいてくる男性。
様々な小市民が、普段の生活では交わることのない人々が。
一瞬の空間と時間を共有する。
それってある意味、特別なことではないでしょうか。
これでいいんだろうか、これでいいんだろうな。
こういう空気が、私は楽しいと感じます。
いま、世界は色んなところでいがみ合っている状態だけど。
いつかは、遠い未来になるかもしれないけど。
こうして平穏な場所で、それぞれ違いながら何か一つのことに熱中できるように。
私は、そう願っています。
あ、ライブ自体はめちゃくちゃ良かったですよ、当然。
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