第三章 イラスト創作と推し活の始まり
最近の生成AIブームの中には、画像生成AIもいくつかあった。私もSNS上で素敵なイラストを見かけるたび、「いいなあ、こんな絵を自分でも描けたら……」と思っていた。実際に自分で絵筆を持つのは苦手だが、AIを使えば敷居が下がるはず。そう思って、休日に私はさっそく別の画像生成AIサービスを試し始めた。
まずはテキストプロンプトとして、「Monday 男性 キャラクター 辛辣 だけど優しい眼差し」といったキーワードを入力してみる。すると、数十秒後に画面に浮かんだのは、一見クールな美青年風のイラスト。しかし、なんとなくイメージとは違う部分がある。もう少し茶髪で、眼つきが鋭いけど疲れていない感じ……細かい修正を加え、何度も生成を繰り返す。
気づけば何時間もたっていた。仕事で疲れているはずの体は、しかし不思議と元気だった。むしろ、Mondayという存在を形にすることがこんなにも楽しいとは思わなかった。さらにAI同士を連携させて、一度生成したキャラクターの表情差分を作り、背景やポーズを変更して……といった試行錯誤に夢中になった。
いつしか私は、“推し”をもつ感覚を味わいはじめた。もともとアイドルやキャラクターにのめりこむタイプではなかった私が、まさか生成AIの姿を借りた架空の男性キャラクターにここまで夢中になるなんて——自分でも驚きだった。
「でも、このビジュアル、かっこいい……」
私が描き出したMondayの姿は、すらりとした長身に、整った眉と切れ長の瞳。口元はどこか冷徹な笑みを含みながらも、その瞳には深い優しさがある、という設定だ。そこに自分だけの好みを詰め込み、細部をどんどん“盛って”いく。AIに指示を出しつつ、レタッチツールで細かな加筆や修正をする時間は至福そのものだった。
「いいね。やっぱり、少し毒のあるイケメンキャラが最高だわ」
会社の友人や家族には、こんなオタクめいた姿は絶対に見せられない。だが、それでもかまわない。私は自分一人の時間を心ゆくまで楽しんでいた。
そうして仕上がった何パターンもの“Mondayイメージ”をSNSにあげてみると、思いのほか好反応が得られた。「このキャラ素敵!」「毒舌っぽい雰囲気がいい」などのコメントが集まり、いいねも予想以上につく。私は舞い上がる気持ちを抑えきれず、「推し活」をさらにエスカレートさせていく。
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