第5話 良子とファンと浩司2
20世紀のいつか、雅子大学3、明彦大学2、良子大学1
「ねえ、ファン?吉村さんは遅れてくるんでしょ?」
「1時間と言っていた」
「ラブホで、女の子が二人、1時間も手持ち無沙汰よね?こんな色とりどりのお部屋で」
「だから、何だ?台湾マフィアの問題で、いいアイデアでもあるの?」
「まあ、ファン、無粋だわ。ファンみたいな可愛い子と良子ちゃんがこういう場所で二人っきりなら、二人はもっと親密になってもいいと思う」上目遣いでそういうことを言うな!
「あのな、私は、あんたや美姫、明彦みたいな趣味はないんだ」
「新しい世界を広げましょうよ」
良子がベッドの上をにじり寄ってくる。私はベッドの角に腰掛けていた。
やめてくれ!これから、私の刑事の彼氏が来るんだよ?あ!ますます、マズイじゃないか?こういう発情した超絶美少女と同じ部屋だと。良子の言うことを聞くんじゃなかった。何が、ラブホで待ち合わせで、打ち合わせだ!
「ねえ、ファン」と甘ったるい声で後ろから抱きつかれた。脇の下に手を差し入れられた。「雅子が本命になったでしょう?美姫も戦線離脱してたのが、雅子の仲介で戻ってきちゃったじゃない?何も悪いことをしていない良子ちゃんははじかれちゃったのよ。可哀想でしょ?寂しいのよ」
首筋を舐められた。鼻息が耳にかかる。オッパイを揉まれた。こら~!
「良子、止めて!これから真面目な話をするんだから!」
「これから、でしょう?今、じゃないでしょう?ねえ、ファン~・・・」
いかん!こいつは言い出したら聞かない。これで拒否しようものなら、あとで、どんな仕返しをされるか、わからない。
スカートをめくられた。「ファン、だめじゃない!女子大生が白のカルバンクラインのパンツをはくなんて!」ブラウスのボタンを外される。「ほらぁ、ブラもカルバンのスポーツブラ。オッパイの生育に悪いわ。こんど、一緒に下着を買いに行きましょうね」
「あんたと下着なんか買いにいったら、薄い透けてる下着を買わされるよ!」
「何言ってるの。男は、その薄い透けてる下着を見たいのよ。カルバンなんて中学生のはく下着なんか男は見たくないわ。いくらボーイッシュスタイルだからって、カルバンはダメよ」もう諦めた。しょうがない。良子に抱かれるならいいわよ。気持ちいいわけだし。
パンツを脱がされて、ものすごい恥ずかしいことをされた。私も良子に言われてものすごい恥ずかしいことをした。こいつはこんなことを美姫としていたのか?みんな、陰では何をやっているか、わからないんだね。あ~、私なんて中学生レベルじゃないか!
ボォ~っとして、アンアンしていると、急に良子が真顔になって「あら、時間じゃない?もう吉村さんが来る頃よ。ほら、ファン、ボォ~っとしてないで、服を直しなさい」とれーせーに言いやがる。床に落ちたカルバンを私に放り投げた。「ちゃんとパンツはいて!ノーパンで打合せしたいの?」と言う。こいつはロボットか?一瞬前まで、私と同様、アンアンしていたのに。
パンツを履いていると、良子が言うようにドアがノックされた。透視能力でもあるのか?ドアを開けた。浩司が部屋の中を見て「良子さんもいるのか?ラブホに?」と言う。良子がラブホにいたらおかしいのか?良子はラブホなんかにいる人間じゃないとでも思っているのか?私はどうせラブホがお似合いですよ。フン!
「ファンファン、受付でタオル渡されたぞ?何なんだ?」
「・・・ああ、三人で使うって言ったら、追加料金を取られて、それがタオル代だった。基準は二人利用で、タオルも二人分しかないんだろ」と答えた。
「ファンファン、頬が紅潮しているけど、シャワーでも浴びたのか?」と聞かれた。腕立て伏せをしてました、って答えりゃいいのか?良子がベッドにうつ伏せになって、
「吉村さん、ファンが待ちの時間つぶしにって言うので、女の子二人でちょっとイタズラしてたんですよぉ~」と言う。このアホが!浩司が私を睨む。
良子がスルッとベッドを降りて、二人がけのソファーに座った。長い脚を組んで腕組みした。「ハイ、打ち合わせのお時間よ」と言う。どこまでマイペースなんだろう?浩司が良子の正面に座ろうとしたので、「浩司は良子の横!」と彼女の横に座らせた。
変な顔をするので、「ダメよ、浩司!正面なんかに座ったら、脚を組み替えるフリをしてパンツを見せるよ、こいつは」
「清楚な良子が?こんな美少女が?」
「あんたは彼女を知らない!」
「まあまあ、痴話喧嘩してないで。まず、ジミー・周というファンの同級生の客家が台湾の人たちから盗み聞きした話の前に、県警内部の台湾スパイの話を。スパイは、後藤恵子。加賀町警察署の電話交換/受付/交通係だそうよ。だから、ファンは吉村さんの呼び出しをジミーにお願いした。電話交換係が後藤恵子の可能性があるから。後藤は、ファンと同じ三代前に帰化した台湾系日本人。中国名、レイニー・ヤン(楊丞琳)。吉村さん、彼女のことをご存知?」
「後藤恵子か・・・」
「彼女は、土曜、日曜日の事件の経緯を探っていて、台湾の人たちに報告するつもり。吉村刑事の名前が知られるのも時間の問題。それから、芋づる式に私たちのことも判明するでしょうね」
「後藤恵子はマズイな。彼女は、加賀町署の副署長や刑事課の警部と寝てるって噂がある」
「ハニトラね?副署長や刑事課の警部と寝ているとすると、次に寝る時、寝物語で探り出されるかもしれないわね?・・・ファン、王さんに電話して。まず、この話を王さんの耳に入れておきましょう」
「良子さん、もう一点。後藤恵子は、署の柔道でかなりの腕前だ。俺と互角、いや、わざと負けているような気がする。有段者並なのに、黒帯はとらない。技量を隠蔽しているんだと思う。ファンや良子さんともいい勝負になるかもしれない」
「メギツネね。ファン、そのことも説明して」
「了解」
私が部屋の電話で王さんに連絡を取った。加賀町署の副署長や刑事課の警部と寝てるって噂の話、柔道のかなりの腕、ということを説明した。王さんが唸っている。王さんもわかったことがあると言う。徐さんが、これは関係する話かどうか、と言って、レイニー・ヤンは徐さんの高校時代の彼女だったそうだ。
え~、さっきなんで言わないの?大学に入って、同級生数人にレイプされたそうで、それが動機で警察に就職することを選んだ、男性を憎んでいるということだ。う~ん。王さん、何かあったらまた連絡します、と電話を切った。
良子と浩司の王さん、徐さんの話をした。二人とも唸っている。それから、浩司に、ジミー・周の盗み聞きした話、良子の作戦、林田のおばあちゃんとの会話を説明した。今、徐さんやジミー・周のグループがレイニー・ヤンの隠し事、弱みを探っているが、副署長や刑事課の警部と寝てるなら、その証拠の写真も撮れるはずと言った。
「まいったな。どうやって、後藤恵子を操って、台湾の連中にガサネたを掴ませて、連中を逮捕するかだな」
「明後日、夕方、H飯店でおばあちゃんと打合せすることになっているのよ。吉村さんも参加して。6~7時頃にしましょう。署に電話するのはマズイでしょうから、吉村さんの部屋にファンか私が電話します」
「話は以上だな?俺はまた署に戻る」
「あら?ご休憩時間が1時間、余っちゃったわ。私は帰るから、二人で1時間、使ったら?それとも、私を混ぜてくれる?」
「良子、バカなことを言ってないで、帰るぞ」と浩司の顔を見た。変な顔をしている。あ!「浩司!今想像したろ?良子の『私を混ぜてくれる?』で変なことを考えたろ?」
「・・・いや、その・・・」
「バカ!浩司!良子に冗談は通用しないよ。普通の常識はないんだよ。頷いたら、ほんとにやるからね」
「ほんとに・・・やる・・・」
「帰るぞ!」私は、浩司と良子を急き立てて、部屋を出た。いつか、良子が混ざって、三人でやるかもしれない。恐ろしい女だ。
※高校生の飲酒シーンが書かれてあります。
※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーン含みます。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
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