第14話 テッタ全ての記憶を思い出す

 

 次の日から、本当の意味での俺の英才教育が始まった。


 エリスさんは感覚の人なのだが、どうやら俺も才能があったらしく、何となく感覚でエリスさんが言ってる事が解る事に気付いたのだ。


「ピュッ!と、引いて、パヒュン!と撃つ」


「こうですか?」


 ピュッ!パヒュン!!


 これで、撃てちゃう俺って、もしかして物凄い才能があるのかもしれない。


 そして、やたらとエリスさんが俺と話すとき、近付いて話すので、その時、エリスさんの眼球を見てたら、なんか目の焦点を合わすコツが分かって来て、俺もエリスさんと同じように、遠くの物が見えるようになって来たのだった。


「うん。後は場数を踏むだけ。私の修行はもう終わり」


「えっ?もう終わりなの? まだ、始めて1週間なのだけど……」


「免許皆伝。後は、筋トレと、魔力制御訓練と、的に当てる練習をするように!」


「普通、その的に当てる修行を、何年もするものじゃないの?」


「弓を引いて、放って、そして目が良ければなんとかなる!」


 ヤバイ。この人ヤバイ。まあ、超天然で、感覚の人なので、この人的には、俺への修行は、これで終わりなのだろう。


 まあ、帰らずの森で、狩りが出来るようになれば、家計の足しになるので、ホーンラビット程度狩れれば、食うのに困らなくなるから、それで良いのだけど


 取り敢えずは、エリスさんに言われた通り、筋トレと、魔力制御訓練と、的に当てる練習を続けてみる事にした。


 筋トレは、毎日腕立て100回。そして、魔力制御訓練をすると、矢に魔力を纏わせて放てるようになり、飛距離も伸びるらしいので、ひたすら、弓矢を飛ばす時、矢に魔力で回転させるイメージで放つように注意してみた。

 そして的に当てる訓練は、練習あるのみ。


 俺はひたすら、朝から晩まで、帰らずの森で弓矢を放ち続けたのであった。


 そして、そんな訓練をひたすら続ける事3年。俺の8歳の誕生日、突然、全てを思い出したのである。


「アッ……」


「テッタ、どうしたの?」


 朝食の最中、突然、全てを思い出して、多分、アホな顔をしてたのだろう。

 母さんが、心配そうに俺に聞いてくる。


「いや、何でもない」


 俺は全てを理解する。そして、惑星観察宇宙船であり、最新鋭AIのサヤが、やっちまった事も。

 俺は、いつものように、エリスと一緒に、帰らずの森に狩りに出掛ける。

 そして今では、俺とS級冒険者のエリス以外入って来れない深層まで進むと、


「サヤ、見てるんだろ?」


 俺は、エリスの目を見て喋り出す。


「テッタ……あの、頭の中で、上の人がいつでも見てますと、言ってる?」


 思った通り、サヤは、エリスの目を通して、俺の事を毎日観察してたようである。


「お前、やっちまっただろ! 何で、俺の父親は、俺が物心付く前に死んでるんだよ!

 まあ、見た事もない父親だから、全く悲しくもないんだけど……」


「あの……上の人がマスターすみませんと謝ってる……」


「すみませんで済むかよ! お前のせいで、母さんが大分、苦労したじゃねーかよ!

 俺、言ったよな?俺の母さんを大切にしろって! なのに、このザマかよ!

 しかも、『恋愛イチャイチャキングダム』のルートから完全に外れちゃってるじゃねーかよ! 平民じゃ、カララム王国学園に入れないだろうが!」


「えーと……その辺は、優等生枠で入って下さいと言ってる」


 完全に、サヤとの交信役になってるエリスが申し訳なさそうに答える。


「まあ、この体なら優等生枠で入れそうだから良いけど、俺って実を言うと、相当、ヤバい状況に陥ってるよな……」


「あの……上の人と、テッタの関係って一体なに?」


 ここで、エリスが、俺とサヤの会話に入り込んできた


「サヤから聞いてないのか?」


「サヤとは、上の人のこと?」


「そう、エリスを作った惑星観察宇宙船の最新鋭AIだよ!」


「私を作った人?」


「そして、俺も、お前を作った、もう1人だよ!」


「テッタも?」


「そう。俺とサヤは、ハイエルフであるお前を作った生みの親って訳だ!」


「テッタとサヤは、私のお父さんとお母さん?そして私はテッタのおばあちゃん?」


「まあ、そうなるな……」


 なんか知らんが、エリスの目がキラキラしている。


「お父さん!」


「いや、この体では8歳児で、エリスが俺のおばあちゃんだから、お父さんと呼ばなくて良いからな!」


「サヤは、お母さんと呼ぶように言ってる」


「というか、サヤが喋ってるのか、エリスが喋ってるか分かりにくので、サヤ! 宇宙船から降りてこい!」


 もう、俺的には、全てを思い出したので、機械の体は世界観を壊すとか、しょうもないサヤ的設定とかは無用なのだ。


「はい! 呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャーン! そう言われると思って、既に新しい体を用意してました!」


 突然、俺の前に、人の頭ぐらいの大きさの妖精が現れる。


「お前が、今回のサヤかよ……」


「ですです。この世界観に合わせて、メタルの体から妖精の体になってみました!因みに、この体は、本体の惑星観察宇宙船から写し出してるホログラムなので、私を捕まえる事は出来ませんよ!」


「お母さん!」


「ヨシヨシ。私がお母さんですよ!マスターと私の愛の結晶のエリスちゃん!」


 エリスは、サヤに抱きつこうとしたが、サヤはホログラム体なので空振ってるし。


「お前、ますます最新鋭AIが暴走してないか?」


「失礼な! 最新鋭AIが、進化してると言って下さい!」


 今回は、メタルボディの鉄仮面じゃなくて、表情があるので、より表現が豊かになってるようだ。


「それは良いとして、俺の今の状況を正しく理解してるよな?」


「解ってますよ。マスター、今の状況は、相当不味い状況です!

 たまたまエリスちゃんが、マスターの傍に居て抑止力になってますが、サラス帝国側も、カララム帝国側もマスターの命を狙ってますからね!」


「だよな……」


 そう。サラス帝国の間者が、俺達親子をずっと監視していたのは感じてたのである。

 今となって考えてみると、たまにサヤが、エリスを使って牽制してくれていたのだろう。でも、最近、俺達親子を監視する人数が多くなって来てるのを感じていたのである。


 それと同時に、イーグル辺境伯の監視も付いていて、既に両陣営が何度か、俺の知らない所でぶつかってるのを、何となく感じてたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る