第25話 大量の宝石
バージニアは畜産も盛んな植民地である。
俺は船から降りて、バージニアのお偉いさんとバーベキューをいただく。
アメリカ植民地でバーベキューが盛んな場所はこのバージニアであり、バージニアで家畜の繁殖に成功したから、アメリカの肉料理の文化が広まったとも言える。
焼かれた肉をバーベキューソースをかけていただく。
このバーベキューソースは17世紀後半にアメリカ植民地で開発され、それがサウスカロライナのドイツ系移民が持ち込んだマスタードソースが合わさり、現代でも食べるようなバーベキューソースの原型が完成した歴史がある。
別れた肉の塊や串に刺された野菜を食べていく。
特にジャガイモ。
焼いたジャガイモにチーズを乗っけて食べていくが、アメリカでよく食べられるようなフライドポテトは実はネーデルラント……後のベルギーで発明された料理であり、ジャガイモを揚げる料理はあれど、スティック状のフライドポテトはまだ完成していなかったのである。
「チャーリー船長、楽しんでおられますかな?」
「ええ、町長さん、楽しんでますよ」
バージニアの街のプリンセス・アンの町長が今回のバーベキューを主催してくれた人物である。
「本国の様子はどうです?」
「凄まじい不況ですよ。南海会社がやらかして金融危機が起こり、経済は大混乱、会社が相次いで倒産をしていますよ。それにバーソロミュー·ロバーツ海賊団等の海賊達による略奪も経済に深刻な影響を与えてますよ」
「それでか……どうにも貿易船の入港が少なくてね」
「まぁ数年で貿易量は回復すると思いますし、本国で海賊に関する法律が変わりましたから」
「まぁバージニアには海賊はほぼ来ないからな……はぁ……黒ひげ騒動が懐かしい」
ちなみに黒ひげを退治したのはバージニアの軍艦である。
なお他の植民地に軍事行動をしたとして総督が解任になる騒ぎになっていた。
「海賊は居ない方が良いですよ……商人にとってはね」
「チャーリー船長も気をつけてくださいよ。カリブ海の海賊は少なくなりましたが、まだ居ないことは無いのでね」
「ええ、気をつけて航海しますよ」
船に戻り、コーラル達が風俗で遊んできたと体のリセットを求めた。
「息抜きになったか? コーラル」
「ええ、まぁ……なるべく高めの娼館に行きましたが、植民地だとサービスも嬢の質も本国に比べて雲泥の差ですよ」
「それほどか」
「ええ、ご主人は行かないで、我々宝石人間とヤッていた方が絶対に良いです」
「ふーん、まぁ病気怖いから行かないけどさ」
俺はコーラルの体を一回珊瑚に戻してから再び人間の姿にしていく。
「ふう、さっぱりしました!」
「それなら良かった。さて次はノースカロライナに行くから出航準備を頼むよ」
「はい!」
俺は稼いだ収益を確認するために箱に詰め込んでいた金貨や銀貨を確認する作業を始めるのであった。
ノースカロライナは貧乏都市なので奴隷の売れ行きも悪く、バージニアと同じ300人用意したのに150人しか売れなかった。
長居することも無かったので、奴隷市が終われば直ぐに南下してサウスカロライナに到着。
ここでは400人奴隷を用意したら、400人全て売り切る事が出来た。
ここまでで850人の石炭人間を売ることに成功し、平均20ポンドの値段で売れていた。
この段階で1万7000ポンドほど稼いでいる。
綿や染料は場所を取るため、現金だけ支払ってもらい、食料や酒を積み込んで移動する。
船では所属の国旗を切り替えて、スペイン国旗を掲げる。
イギリスでスペイン植民地と取引しても良いという許可を貰っているから出来ることである。
カリブ海の制海権をイギリスが握ったお陰か、前回の航海に比べても海賊が激減しており、小型の不審船が暗闇に紛れて近づいてきただけであったが、見張りが直ぐに発見して、弾丸を大量に叩き込んだ。
俺が起きる頃には、不審船は蜂の巣になっており、そのまま数分後に沈んだ事件が起こった事や、イギリス軍艦から検問を受けて、船内を見られたりということもあった。
そのままイギリスの軍艦に護衛されながらメキシコの港に入港し、400人の奴隷を奴隷商人に引き渡し、代金としてメキシコの銀をたっぷり入手する。
護衛してくれたイギリス軍艦にも代金の一部を護衛料金として支払い、3日ほどの停泊で出航。
そのまま別のメキシコの港を3カ所ほど立ち寄って、奴隷を売却しながら、パナマに到着するのだった。
パナマはこの頃ヌエバ・グラナダ副王領というスペインの植民地であり、パナマの他にベネゼエラ、コロンビア、エクアドルの領土を合わせた広大な領土を有する巨大な植民地であった。
パナマ地域では南米のスペイン植民地の銀の集積所であり、他にも真珠や珊瑚の産地としても有名である。
パナマでも奴隷を売却するが、100名ほどしか売れなかった。
ただ、俺はメキシコで入手したスペインの銀貨で大量の真珠と宝石珊瑚を購入していく。
この地域で取れる真珠の種類はコンクパールと呼ばれる種類の巻貝で、現代でも養殖が不可能な希少な真珠である。
色も白だけでなく、ピンク、黄色、茶色と様々な色合いで、形も球体の物もあれば、少し歪んだ形をしているものもあり、様々である。
俺はなるべく良質を希望しながら、約10キロ(1粒1gから2gなので、粒数にすると8000個くらい)を購入。
4000ポンドほどの値段がしたが、本国で売られている値段の5分の1の価格で購入することが出来たので満足である。
試しにその中でも上質な真珠を女性の宝石人間に変えてみる。
絹の様に美しい白色でハリのある肌、髪色は薄い金髪。
髪は腰辺りまで伸び、身長は160センチほど。
大きな瞳は光沢があり、輝いて見える。
可愛い系の美少女がそこに居た。
「ハァイ! こんにちはご主人様! 真珠です! 石言葉は純粋、健康、長寿、富! 聖書にも記載がある由緒正しき宝石とは私のことです!」
儚い感じかと思いきや元気がある感じだった。
「良いねぇ。せっかく宝石人間になったことだし、そのままでいくか。男にするぞ」
「あ、待って待って! 真珠は人魚や月と言われるように女性を表す宝石だから女性のままが良いなぁ……」
「……そうか。船員達にレイプされる可能性があるが大丈夫か?」
「性行為ばっちこいですよ! なんならご主人から抜きましょうか?」
「なにが純粋だよ。ビッチじゃねぇか」
「色付き真珠は別の意味もあったりするんですよ……まぁ純白の子は純粋な性格になると思うのでね」
「……まぁいいや。とりあえずTシャツとズボン履いておけ。裸のままだと本当に襲われるぞ」
「はーい」
真珠を大量に積んだ俺達はそのまま南下して、今度は現代だとコロンビアの港に到着する。
ここでは世界有数のエメラルドの産出地域であり、他にも金や銀、鉄の産出量も多いため、鉱山奴隷が多く求められていた。
俺は奴隷400人を売る代わりに、エメラルドを大量に求めた。
まだ加工前のエメラルドの原石を大量に入手し、船に詰め込んでいく。
そのまま今度はブラジルに移動し、ここでも奴隷400人の売却と同価値の宝石を求めた。
ブラジルでは紫色に光り輝くアメジストや、茶色、金色、赤色の3色が混ざった様な色合いのアンダルサイト、大きなアクアマリン、金色に光り輝くベリル、滑らかな色合いのカーネリアン、淡い紫色のカルセドニー、金色に輝く水晶のシトリン、メタリックな色合いのヘマタイト、ロシアでほぼ同時期に発見された皇帝の名を持つインペリアルトパーズ、様々な色合いのある石英などなど、宝石の宝庫ブラジルで、俺は買えるだけ宝石をどんどん買っていく。
それこそ1万ポンド近く消費して宝石を求めた。
種類ごとに袋に分け、なくならないように袋を宝箱の様な箱に入れて倉庫に保管していく。
宝石を求めるのはこれで終わりで、最後にジャマイカとキューバで、それぞれ300人の奴隷を売り、船に入るだけの砂糖とコーヒー豆を詰め込んで、新大陸を出航する。
船の中は100トン以上の砂糖、タバコ、コーヒー豆がそれぞれ詰め込まれ、船底の倉庫はパンパン。
帰りはいつものように偏西風に乗れるので、行きの半分程度の日数でイギリスに帰る事が出来る。
嵐にも遭うことも無く、一気にイギリスに向かうのだった。
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