記憶の中の美しき断片「三つの旋律が響き合う人生の随想録」

神崎 小太郎

前書き 私小説風のエッセイ

 寝入りばなに、夢の中で何度もふさわしい言葉を探している自分に気づくことがあります。まるで、無意識の世界が創作への渇望を映し出し、静かに癒しをもたらしているかのようです。


 人生百年時代と呼ばれる現代、自分が何歳まで生きられるのかを正確に知る人は誰もいません。


 ところが、人生という舞台に立ち続けて、気づけば半世紀あまり――。

 積み重ねてきた幾多の思い出が、ふとした瞬間に、そっと心を包み込んでくれるのです。


 時の流れを改めて感じながら、長い間やめられずに手放せなかった天文学者の名前を模した紙巻きたばこの煙を、ただぼんやりと眺めていました。


「寿命が十年短くなる」という教えに思いを巡らせると、まるで晩年に差し掛かったかのような感慨が胸に広がります。


 たばこひとつで「人生の晩年」と決めつけてしまうのは、本当に正しい見方なのでしょうか。それはきっと、思い込みであり、どこか偏った解釈に過ぎないのかもしれません。


 そんなことを考えていると、「人は理性だけでは生きられない」と、どこか呟きたくなる自分がいます。


 けれど、そう感じている『いま』だからこそ、後悔のないように生きていきたい。なによりも、輝きに満ちた日々を信じながら、前を向いて歩くことの大切さを、改めて心に深く刻むようになりました。


 特に心がけているのは、日々の暮らしの中で「いいな」と感じた瞬間を大切にし、そのときめきを言葉へと紡ぐこと。そんな彩り豊かな日常のなかで、偶然、三つの作品と出会ったのです。


 それらは、忘れかけていた小さな感動をそっと呼び覚まし、心の奥深くへ静かに染み渡っていきました。小説として描くか、随想として書き留めるか、迷った末に、後者を選びました。


 一見すると、不協和音のように見える人生の裏側。しかし、その中にこそ隠された調和を見つけ出したい。そんな思いから綴られたこの随想録は、音楽・ドキュメンタリー・小説という三つの異なるジャンルが織りなす、不思議なハーモニーを奏でます。 


 松崎ナオさんの透明感あふれる歌声が描く哀愁と、NHKの『ドキュメント72時間』が映し出す黄昏のリアルな人間模様。また、本屋大賞を受賞した阿部暁子さんの小説『カフネ』が語る葛藤と再生の物語。


 それらは複雑に重なり合い、不協和音のようでありながらも、日常のささやかな美しさを引き立てるハーモニーとして響きます。


 一度きりの人生には、どこか寂しさがつきまといます。まるで、雲海の向こうから星々が輝き、儚くも魅惑的な夢を紡ぐ、銀河のプラネタリウムのように。


 そんな静寂に包まれた夜空の下では、見知らぬ人々の物語が響き合い、星のように淡くまばたきを繰り返していきます。


 偶然に出会った人々の「もっと一緒に、心温まる場所へ行こう」という囁きは、夜の帳に溶け込み、胸の奥で微かに響きを残すのです。その声は人生の断片に優しい光を灯し、刹那のきらめきから希望の光へと変わっていきます。


 真っ白な「キャンバス」に、追憶の一瞬一瞬が溶け合い、響き合いながら、鮮やかな輝きを放ちます。そして、消えゆく日々の幽玄な彩りを、永遠という名の絵の具で静かに描きとめていくのです。


 どうか、この私小説のような随想録の詩的な行間に、そっと心を預けてみてください。時の流れを超え、夢と希望の光が、あなたの心にやさしく降りそそぎます。未来を紡ぐ凛とした光が、いま、静かにあなたを待っています。

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