【完結済】私侯爵令嬢、今からお嫁に行くの
@uruki
第1話
「・・・・・・と言う事でお願いね」
「・・・はい、かしこまりました」
返事と共に前世の記憶を取り戻した私は思った。売られた!と。
・・・って言ってもそんな悲惨な事態でも無い・・・多分。
今会話して部屋を出ていったのは今世の自分の母親である。
今の話が何だったかって言うと、貧乏子沢山令嬢あるあるな訳あり物件に嫁ぐって話だった・・・前世の日本のラノベ的にも前前世の世界観的にも。
私が選ばれた理由はズバリ一番家族に馴染めて無いから。
何か感情の起伏の乏しい、凄くぼんやりとした令嬢だったみたい・・・覚醒が遅くて今世の魂に上手く定着できてなかったのが原因かな?と推測。
まあ生まれてからの記憶はバッチリ覚えてたのは良かったけど。
今の話を簡単にまとめると、今まで争っては甚大な被害を被っていた我が国はこの度その相手の蛮族と同盟を結ぶ事になりました。
で、その蛮族さんの要望が嫁。白羽の矢が立ったのが私って所ね。
まあ当たり前だけど蛮族は蔑称。ちゃんとシュリサリ族って言う部族名がある。
これまたあるある話で現地民がシュリサリ族の方よ。
侵攻したのは我が国だから相手からしたら蛮族は我が国の事なんだけどいかんせん人が死に過ぎた・・・しかも一方的に。
シュリサリ族マジで強くてこっちは死者出まくりなのにあっちは怪我はあるけど死者0なのは脅威と言うより最早異様。
蔑称には未知の強者への畏怖と、こっちの貴族の吟じ的な強がりが多分に含まれているのだ。
シュリサリ族分布の地域には真っ白で手触りの良い毛皮の採れる魔物が数多く出る。
その毛皮の取り引きで大金があちらに流れているのは周知の事実で国はお金を惜しんで侵攻、結果ボロ負け。
幸いあっちにはこちらに侵攻してくる旨みがあんまり無かったんでごめんなさいしてあっちの要望が嫁だった事を良いことにこの際まあまあ良い家柄の子を送って家の国に紐付けちゃおうぜ作戦を決行中って訳。
私これでも一応侯爵令嬢・・・まあ、領地も持ってない過去の栄光で何とかその地位にしがみついているだけの名ばかり令嬢なんだけどね。
一応爵位に応じて毎年お金は入ってくるんだけどそれを上回る勢いで考え無しに子供を産みまくる親が居ましてですねぇ〜・・・超・絶・貧・乏、まっしぐら。
お金無いって慌ててたら我が家にとってはこんな良い話が転がって来たもんだから文句言わなそうな丁度いい娘も居るしって飛び付いたみたい。
国からしても軒並み上の地位の者には嫌がられてた案件だから誰とも揉めずにあっさり嫁入りが決まったらしかった。
嫁入りを無事果たせば今後は辺境伯爵としての地位を頂けるらしいよ。
・・・辺境伯ってこんな感じで出来るんだ〜位にしか思わんかったけど。
こちとら前世も前前世も平民でしたからね。
実家的にはお金持ちと縁が出来て今後はもう安泰!な空気出てるけど・・・仲良い家族だったならまだしも私との関係没交渉じゃん。
そんな私が甲斐甲斐しく助けるって本気で思ってんのかな?
多分私自分の事で精一杯よ?
覚醒直後捨てられたって思う位には過去の記憶にいい思い出が無さすぎた。
虐待は無かったみたいだけどギリだよ。
文句言わないからって徐々に食べる量減らされてその分他の家族に回されてたから私の身体マジガリガリじゃん。
汚れの少ないスラムの子みたいな風貌に相手方は怒んないのかそこが心配である。
相手方の嫁要望は新しい血を入れる為だろうから健康体が求められてる筈・・・。
行くまでに後一週間。
それまでにどれだけ太れるかとあっちに行く為の準備に大忙しの私であった。
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