第28話フィアンセ?b


「……という訳で単身銀竜討伐に向かった俺だが、逆に師匠シルバー・リリー・ドラゴンからもらったスキル【銀化】は永遠に本物に銀になるんだ……」


「あらま、本当にやっちゃったのねえ」



 だきっ

 すると突然ファニーが横から俺の肩に抱き着く。


「安心せい! そ、その銀ピカの体はわらわが一生面倒みてやるぞっ!」

「ブシューーッ! それって!?」


 何故かマリは突然水を吹く。


「わらわは……ほ、本気だぞっっ」


 ファニーは、おやっ彼女にしては珍しく少し頬を赤らめているぞ?


「そんな悪いよっ! 一回命救っただけで、サブスクみたいに月々お手当もらえるなんてっ!? どちらかと言えば一括で貰えた方が……」


 ガタッ

 何故か二人は同時にコケた。


「違うでしょ!?」

「違うわっ誰がサブスクでお手当をやるかっ!! わらわのフィアンセにしてやるというのだっ!!」


 えっ? フィアンセってあのフィアンセですかー??


「何でですか?」


 本気で聞くを俺を、何故か二人はバカでも見る様に見つめて来る……



「わらわはチョット変わった男を望んでおったのだ! それにその銀化なるスキルがあると、金目当ての女しか寄って来ぬぞ? その点わらわはお金持ち故、無欲のカタマリだぞっ!」


「う~ん、喜んでいいの?」


 俺は何か複雑になってピカピカの両手を見る。


「へェ~~~~~良かったじゃない? おめでとうさん。そんな事より折角沸いたお風呂なんだけど」


 マリはあからさまに不機嫌、何で!?


「お姫様は?」

「わらわが庶民の風呂に入る訳なかろう!」

「じゃ、俺が……」


 ちらり

 マリを見ると目を合わせず案内してくれた。

 ザッザザッザ



 カポーーンッカタッバシャッ

 俺は軽くテカテカの体を流すと湯舟に浸かった。

 ザバーー……


「ふぅ~~~急に色々あったなあ」


 俺は師匠の元にいた一年や、そこから出た今朝までの事を振り返っていた……

 コンコン


「入るぞ?」

「ん?」


 ガラッ

 謎の声に何気なく返事すると、バスタオルを巻いたファニーが恥ずかしそうに立っていた。


「うっぎゃーー!?」

「シッ声が大きいぞっマリに気付かれるであろうが!」


 俺は必死に下を向きながら追い返そうとしたが。


「駄目でしょ! そんなの恥ずかし過ぎるよっ」

「安心せい、まだ婚儀の前ゆえバスタオルは外さぬわっ! このスケベめっっ」

「そうじゃなーーい! 根本的にダメだよっ」



「うう~っ」

「ううっ?」


 見ると両手で顔を覆ってしゃがみ込んでいる。


「どうしたのさ?」


「ううっわらわは何日間も軟禁され、心細くて怖かったのだっ今すぐ一人で風呂に入れと言うのかっ!? うううーーー」


 うっ可哀そう……忘れてたよ俺もその一味になって、主犯を逃がしちゃったんだっけ。どうせお姫さまの気まぐれ少し付き合うか。


「じゃ、じゃあ俺背中向くから」

「わーーい前向きで入るぞっ!」


 ぽちゃっ

 彼女は物凄いスピードで俺の前に入って来た!!

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