そんなに急いで逃げなくても…

「では、説明は以上になります。何か質問はございますか?これが最後になるので、これから先は私は…というか、私達〝天界〟の存在は干渉出来ないので、じっくり考えて答えて下さい」


(いや、そう言われても…)


後は何を聞いておけばいいんだ?う〜ん。あ、一応これは聞いてみるか。


(俺は地球に帰―)


「無理です」


(即答…はぁ…分かってたけど)


じゃあ他には…通貨?聞く必要ある?熊なのに?文字は?歴史は?必要か?森の中だぞ?今の俺、野生だぞ?…え?聞く事、無くない?戦闘方法は、これから嫌でも身に付けなきゃいけないし、その過程で恐らくスキルも手に入るよな?

でも、違ったらヤバいから…


(スキルの習得方法を教えて下さい)


「…いや、あの…そろそろ普通に喋りません?私が居なくなったら話し相手が完全に居なくなりますよ?下手したら言葉を忘れますよ?少しでも使った方がいいですよ?本物の魔物になりたいなら止めませんが…。あ、スキルの習得方法ですね?方法は複数あります。一つ目は自分で行動し、それがスキルとして発現するモノ。これが一番確実ですね。二つ目はスキルの実を食べる事です。ただ、これはランダムなのでどんなスキルが手に入るか、分かりません。普通はこの二つだけなのですが、貴方の場合はユニークスキルに【見取り稽古】がありますから、周りを観察するだけでも、もしかしたらスキルが手に入るかもしれません」


(一つ目と二つ目はわかったけど…って、あ!え〜と)


三つ目の【見取り稽古】?ってなんですか?クックムクゥククムクゥクゥ?クァキュウキュア?


「この世界でたった一つの存在が持つ特別なスキル、それをユニークスキルと言います。それを貴方は持っている。その名が【見取り稽古】なんです。効果は集中して、一定の時間、特定の事を見る事で、そのスキル又は、それに関連するスキルを習得出来るユニークスキルです」


…かなり強いスキルですね…クァクィクォウクゥクルキュルル。。 使いこなせるだろうかキュウクゥククゥキュ厶


「大丈夫だと思いますよ?ユニークスキルはその存在に合ったモノが発現しますから」


…でも、あの神が居るじゃないですか…クゥ、クゥクゥアクルクキュウキュウア。基本を外れる可能性はあるんじゃ?キュククアキャキャウキャウアクゥアキャキャウ?


「へ?」


大天使様は気の抜けた声を上げた後、俺の言葉を聞いた大天使様は少し考え、そして真顔で言った。


「…そこまで腐ってたら、その事を私が創造神様に報告します。そうすれば恐らくロキは邪神認定されるので私達が責任を持って討ち取ります」


いや、討ち取りますって…それじゃあ、クア、ククゥクッキュ…ククァ、遅いでしょう?クキュウウ?俺がどうなるか、クゥキャクゥクゥルア、分からないじゃないですかククゥ厶キャルクゥ


それを聞いた大天使様は…


「安心して下さい!こう見えて時空神様と友達なんです。時空神様なら貴方が死んだとしても、時間を巻き戻して無かった事に出来ますから!」


(……それって結局一回は死ぬんだよね?どこの部分に安心しろと?)


俺の心を読んだであろう大天使様は目を泳がせながら続ける。


「と、とりあえずスキル習得方法はこんな感じです!他に何か質問はありませんか?ありませんね?では!私はこれで!分からない事は【鑑定】してみて下さい!それでは!」


あ、ちょっ…クァ、ククゥ…



ズバビューーーーーーーーン!!



大天使様は物凄いスピードで飛んでいってしまった。


(…天界って空の上にあるのだろうか?)


空の世って言うくらいだからあるか…まぁいいや、とりあえず必要な情報は聞けたし。後の事は自分で何とかするか。最悪、【鑑定】しまくれば何とかなるだろう。


あ!クァ!今の季節を聞き忘れた!キュクァクゥククウクァキュキュクァクキャクァ!




俺は異世界を舐めていた。季節どころではない。俺は聞くべきだった。

この森がどんな場所で、どこにあって、何が近くにあるのか。

それを知っていれば……

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