第5話「炊き出し」

ヒンロの家はしばしば食費や生活費が底をついた。


とはいえ、彼らだけが特殊ではなく、居住区の住民なら良くある話である。


生活保護費が支給されるまでの間が勝負となる。


そこで頼りになるのが、ボランティアの炊き出しという事になる。


ヒンロは空の鍋を持って炊き出しの列に並んだ。


温かいお粥が食べられそうだ。


「よぉ、ヒンロ!元気か?」サタレが声を掛けてくれた。


サタレは26歳の勇気ある男だ。


彼は差別と貧困に立ち向かい、居住区外に小さいながらも料理屋を経営する事を許されたヒーローだった。


長身で逞しい身体。輝く瞳。ヒンロの憧れの兄貴分だ。


「調子かぁ。良くはないね。」


ヒンロがそう言うと、サタレが返した。


「今度、居住区に住んでる若い子を集めて、おしゃべり大会やるんだけど来いよ。気晴らしになるぜ。」と。


ヒンロは静かに頷くと、鍋に炊き出しのお粥を入れてもらった。

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