第33話「ぽっちゃり魔王と魔王祭りの招待」
魔王の城の朝。ベルファゴールは寝台でゴロリと寝返りを打ち、もふもふの髪が朝陽にキラリ。ぽっちゃりな腹が静かに鳴る。
「フン、今日は優雅に過ごすぞ!」
そこへ、聖女ルナーティアが白いドレス姿でそっと現れる。手に持つのは、ふわっとしたフレンチトーストだ。
「ベルファゴール様、朝食にフレンチトーストはいかがですか?」
メープルシロップの甘い香りが漂い、ベルファゴールは目を細める。
「最高のトーストを頼む!」
内心では、「ルナの朝食……楽しみだな」とニヤリ。7年前、16歳で邪神を倒した幼なじみ夫婦。今は新婚の甘い日々を満喫中だ。
だが、静かな朝を破る重い足音が響く。
「魔王ベルファゴール、魔界より参った」
扉が開き、黒いマントの使者ザルクが現れる。鋭い目でベルファゴールを見据え、低く告げる。
「魔界で魔王祭りが開催される。ベルファゴールと聖女ルナーティアを招待したい」
「フン、魔王祭りだと? 俺が行く必要あるのか?」
ベルファゴールが渋い顔をすると、ルナーティアの妹クレアが乱入してきた。ショートカットの髪を跳ねさせ、フレンチトーストをパクリ。
「うわっ、姉貴、美味い! 魔王祭りって何? 魔王さん、ぽっちゃりで祭り出れる?」
「無礼な! 俺の体型は完璧だ!」
ベルファゴールがムキになって反論すると、ルナーティアがクスクスと笑い、彼は真っ赤に。
そこへ、国王ディオスがやってくる。
「ベルファゴール、魔王祭りって楽しそうだね! 村人たちにも話したら、みんな興味津々だよ」
穏やかな笑顔のディオス。ザルクが「祭りは魔界の伝統行事だ。魔王たちの力を競い、魔界の結束を高める」と説明する。
「ベルファゴール様、魔界の祭り、楽しそうですわ。行きませんか?」
ルナーティアが微笑むので、ベルファゴールは「フン、ルナが行きたいなら仕方ねえ」と頷き、一行は魔界へ向かうことに。
魔界の広場は魔王祭りの熱気で溢れていた。赤や紫の旗がはためき、魔物たちが「ガオー!」と叫びながら飲み物を手に盛り上がっている。ザルクが「競技は力比べと魔法比べだ」と案内する。
力比べでは、巨大な岩を持ち上げる競技。ベルファゴールが「フン、こんな岩、朝飯前だ!」と持ち上げると、魔物たちが「さすが魔王!」と拍手。だが、ぽっちゃりな体がよろけ、岩がドスン。クレアが「魔王さん、ダサい!」と大笑いだ。
次は魔法比べ。ルナーティアが「私も参加しますわ」と進み出る。彼女が聖なる光で美しい花火のような魔法を放つと、魔物たちが「オオー!」と感動。シルヴィが「ルナーティア、すごい! 私も負けない!」と乱入し、キラキラした星を降らせる。
「フン、ルナの魔法が一番だ」
ベルファゴールが呟くと、クレアが「魔王さん、姉貴に甘すぎ!」と突っ込む。ディオスが「魔界って賑やかだね!」と笑うが、「国家機密を漏らすなよ!」と釘を刺される。
祭りの最後は、魔物たちと一緒に魔界の果実を使ったパイを囲む宴会。ルナーティアが「ベルファゴール様、楽しかったですわ」と微笑む。
「……まあ、悪くない」
ベルファゴールはパイを頬張り、内心「ルナと祭りを楽しむなら魔界も悪くねえ」と幸せを感じる。ルナーティアの手を握る彼の目は、愛で輝いていた。
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